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サネカズラの粘液は整髪料? [花木(冬)]

先週、サネカズラの果実について記事にしました。今回はその続編です。

サネカズラはビナンカズラ(美男葛)とかビンツケカズラ・トロロカズラともいわれ、鬢付け油の代用として整髪料に使われたそうです。
どのように用いられたのでしょうか。
ネット検索では、利用部位は枝、蔓、実、葉などそれぞれ、また利用方法も、つぶす、皮を剥ぐ、煮る、揉むなど多様で具体的にどうするのかはよくわかりません。

サネカズラの試食後、この果実の薄い果皮を剝いでみました。
果皮の下は淡いピンクのゼリー様物質で、真ん中の白っぽい種子を包んでいました。


サネカズラ果実と種子2wb.jpg

ゼリー様物質には粘着性があるかどうか試してみます。
人の髪の代わりにさばいた小筆を用いました。

筆1wb.jpg

1個分のゼリーを付けながら毛先を整えました。

筆2wb.jpg

毛先は容易にきれいにまとまり、乾いても、翌日になってもこの状態を保ちました。
匂いもありません。その後水洗すればさらりと流れ、これなら鬢付け油の代用になりうると思いました。しかし小さな果実の果皮や種子を除くのは面倒です。

そこで長く伸びた蔓を1本切って、枝から出る粘液を確かめることにしました。

サネカズラ蔓wb.jpg

同時に花床と葉も比較確認してみます。
左から花床、若枝、葉。

花床は半分に切りました。ネバネバ感はなく、水の中でこすっても粘性は出じません。
若枝は1cmくらいに切って水に浸しました。そのままではかすかな粘性を感じるほどでしたが、親指と人差し指で揉むうちにとろとろになってきました。
葉はちぎって水に浸しました。これも指で揉むと多少粘り気が出てきました。

サネカズラ粘液試1wb.jpg

やはり、ヘアージェルとしては枝が有用です。葉や液果も補助的には使えそうです。

サネカズラ粘液試2wb.jpg

枝片と粘液を掬って垂らしてみたところです。水飴のようですね。
これで筆先を整えると、果実のゼリー状物質をつけた時と同じようになりました。

サネカズラ粘液wb.jpg

若い枝を斜めに切った断面。
サネカズラ枝断面wb.jpg

枝の処理方法を変えてみました。
左は上記のぶつ切りのまま。
新たに、すりまぜ(ぶつぎりをすり鉢ですりまぜたもの)、樹皮を除去したもの、その樹皮のみの3様を用意し、それぞれ水を加えました。
いずれも指で揉むとよりネバネバになりました。
敢えてすり混ぜる必要はなさそうです。
一方、樹皮を除去したものは淡黄緑色のきれいな液になりました。
当初、樹皮には粘液が無いのではと思っていたのですが、樹皮のみでも少ないながら粘性が認められました。樹皮内層には若干の形成層が付着しているためでしょう。

サネカズラ粘液4Lwb.jpg

検索すると「茎を煮沸して用いる」と書かれたものもありました。そこで新たにつるをぶつ切りにし煮沸してみました。オクラやヤマイモのように煮沸するとたちまちネバネバになるのとは異なり、僅かに粘性が出ただけでした。これを広口瓶に入れ、撹拌すると「ぶつ切り」と同じく液は淡褐色に濁り、粘性が出てきました。煮沸はむしろ滅菌保存のために有用だったのでないかと考えました。
樹皮を剥いでから煮沸保存すれば、さらにきれいなヘアージェルになるでしょう。

美男カズラといっても、男性のみならず女性も頭髪養毛料や整髪用として、あるいは薄めて洗髪用にも用いていたようです。リンスの効果があるのでしょう。
この他、絹の糊づけとし光沢を出させたり、製紙にも使われたという記載もありました。
この粘性物質はキシログルクロニド( xyloglucuronide )だそうです。
昔の人々の生活の知恵は誠に深遠ですね。


コメント(6) 

コメント 6

エフ・エム

とても貴重な実験結果です。サネカズラについて考えるとき、このページに戻って、参考にさせていただきたいと思っています。
女性も使っていたと書いていらっしゃいますが、牧野さんによれば、美人ソウという別名もある(植物一日一題)そうですので、普通の、あるいは貴重な整髪料だったのでしょうね。
因に、「名にしおはば逢坂山のさねかずら・・・」の「逢坂山のさねかずら」は「逢って寝る」という意味なんだそうですが、サネカズラの美男と美女との結びつきまで考えると、ずいぶん艶かしい歌だなとおもいました。
by エフ・エム (2010-12-13 11:36) 

夕菅

エフ・エム さん 早速のコメントありがとうございました。
植物一日一題、今回見ておりませんでしたので、慌てて読みました。確かに美人ソウの別名もあったのですね。
いにしえは女性が使っても対等に美女カズラなんて言わない、こっそり美人ソウといってたのでしょうか。
解説を読んでみると、サネカズラを詠み込んだ歌には艶かしいものが多いようですね。
by 夕菅 (2010-12-13 21:56) 

わんちゃん

夕菅さん こんばんわ~~

夕菅さんのサネカズラのトロ~~としたモンの追及と解説を読み進むうちにいつの間にか「ビナンカズラ」として昔の人たちがこういう風に作っていたんやなぁ・・・って納得しながら読んでるわんちゃんに気が付きました。

「サネカズラの紅い実が可愛いですね」
「ビナンカズラどすえ」
わざわざビナンカズラトと・・・
師走に入るとお墓参りに行くのですが
竹林の雑木にからみついていたサネカズラに実が、
お墓守さんは「ビナンカズラ」の呼び名の方がお好きなようでした。


by わんちゃん (2010-12-16 21:43) 

夕菅

わんちゃん  コメントありがとうございました。
ビナンカズラ、どうも眺めていても実感できなかったのでつい、またね。
年賀状も着手してないのに忙しい師走に刻んだり、摺ったり、煮たり(笑)。
でも私もこれで納得できましたし、同感していただいて嬉しい!
私がこれを買って来た時、「美男カズラ」と書いてありました。
ひょっとしたらそれに惹かれて買った? お墓守さんならずとも?


by 夕菅 (2010-12-16 23:54) 

山井

 グログ拝見。僕の体験を述べます、去年。サネカズラが無いので、テイカカズラでも同じと聴き試してみました、20㎝位に
切り タダ 水に浸けただけでしたので失敗でした、今年。サネカズラを1M位い入手し、2㎝位に切りペンチにて潰し水に浸け一晩寝かし、朝。見ましたらあまり変化なく変に想い、ネツトで調べて居ましたら、お宅のブログ発見。早速手で揉んだり、皮を剥したりしましたら水が ネバ く成り、頭髪に付けて見ましたら、整髪が上手く行きました。あの。細い僅かの小枝から。こんなに ネバイ 液が出たのには タダタダ 驚いて居ます。コーヒーの空ビンに取り薄くなった髪の整髪に使っいる毎日です。
  
by 山井 (2012-01-13 16:01) 

夕菅

山井様 貴重なコメントありがとうございました。
このブログを実用に役立てていただけるなんて思ってもいませんでした。感激です!
この実験でトロトロの液体がたくさん出来ましたのに主人の頭髪は短くて整髪料不要、しばらく冷蔵庫に保存後庭に流しました。
昔の人の知恵に感心しますね。
美男カズラの整髪料でますます美男になって下さい。
by 夕菅 (2012-01-13 23:56) 

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