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大型ヒメリュウキンカ(キクザキリュウキンカ) [草花(春)]

大型ヒメリュウキンカ(キクザキリュウキンカ)

2月10日、うちのヒメリュウキンカはやっと葉と蕾が1個見えてきたばかりです。
この日「ヒメリュウキンカ」を1株いただきまず仮植えしました。
新株はもう花が開きかけ、葉も大きく、太い茎が目立ちます。
大型0211wb.jpg

前庭に堆肥を施し植え直しましたところ、寒さにも負けずどんどん開花(3月8日)。
大型花上0308wb.jpg

気がつくともう球形の果実(痩果)が出来ていました。
これはヒメリュウキンカの特徴です。
大型0306-1wb.jpg

ヒメリュウキンカは小型のリュウキンカではありません。並べて表示します。

  リュウキンカ   キンポウゲ科 リュウキンカ属
           学名:Caltha palustris var. nipponica  
           アジア原産、水辺に自生する。
           萼はない。袋果。根は白色髭状。

  ヒメリュウキンカ キンポウゲ科 フィカリア属(旧キンポウゲ属)
           学名:Ranunculus ficaria   
           英名:Celandine(Lesser celandine)
           ヨーロッパ原産、山地に生育。変異種・園芸種が多い。
           萼がある(3枚)。痩果。 球根状根茎。
           

この新株は2年前記事にしたうちのヒメリュウキンカと比べ、花の直径は同じく約4cmですが、大柄でたくましく何か違った印象です。
別種があるのでしょうか?
大型茎3wb2.jpg

検索してみると「ヒメリュウキンカ」Ranunculus ficaria と呼ばれているものには自生種を含む大型のものと小型の園芸品種とがあることがわかりました。
大型のヒメリュウキンカには別名がいろいろあります。
  キクザキリュウキンカ、セランダイン、欧州キンポウゲ、バイカルキンポウゲ など

大型と小型というだけでは発育条件もあって分類しかねます。
他に形態的相違点はないのでしょうか。検索しても具体的な記載は見当たりません。
この1株について観察してみましょう。
葉をかきわけて見ると茎の違いに気付きました。
大型茎1wb.jpg
上の写真をよく見るとまず太い茎が出て、次の葉腋からまた葉と茎(地上茎)が伸びその先端に花を1つ咲かせています。草丈は約20cm。

株全体をみると葉腋から出る地上茎は一カ所に1〜数本。さらに次の葉腋からまた複数の地上茎が出来るものもありました。

追加
一番奥の太い茎には1節目に6〜7つの地上茎(一部枯死)が出ていました。
さらに2節目にも右側の茎には3茎、中央の茎には2つの蕾が見えています。
まことにたくましい生育ぶりです。
大型2節目wb.jpg

確認のため、茎を1本根元から切り取りました。
上・下の写真からわかるように、葉腋から4枚の葉と3本の茎が伸びています。
右の茎は途中に葉が2枚、左は1枚出ています。
大型1茎cutwb.jpg

今まで植えた園芸種のヒメリュウキンカ数株では地面から伸び出た茎に直接花が咲き、このように葉腋からまた地上茎が伸び出す株は初めてです。
スミレは無茎種と有茎種に分類されます。これに倣えば大型ヒメリュウキンカは有茎種ということになります。
大型1茎cut2wb.jpg

ついでに花の裏側に3枚の萼があることを確認しました。
これもヒメリュウキンカの特徴です。
大型花裏wb.jpg

こちらはうちの園芸種のヒメリュウキンカ
上から見ただけでは大型ヒメリュウキンカとの違いがわかりません。
ヒメリュウキンカ上wb.jpg

草丈低く、茎は全て直接地面から伸びています(一茎一花)。
ヒメリュウキンカ前wb.jpg

若い株の根元を見てみます。
太い茎はなく、地面から細い茎が出て、その多くには2枚の葉と1個の花が認められます。
ヒメリュウキンカ茎wb.jpg

白花の園芸種は花の直径3cm弱で清楚、細い茎に花が一輪づつ。
いかにも「ヒメリュウキンカ」という風情です。
園芸種はすでに100種もあるともいわれているようです。
草丈は5−20cmが多く、繁殖力が弱いのか、うちでは消えてしまったものもあります。
ヒメリュウキンカ白wb.jpg

リュウキンカと見比べてみます。
これは六甲高山植物園でミズバショウと隣接して咲いていたリュウキンカです。
花弁は5枚。花径はヒメリュウキンカより小さめで2〜3cmですが葉は大きく、草丈は30〜50cmになります。
リュウキンカwb.jpg

大型種にヒメリュウキンカの名はしっくりきませんが、当初は単にリュウキンカに似ているが草丈はそれより小さいものとして命名されたのでしょうか。

日本帰化植物写真図鑑第2巻では「キクザキリュウキンカ」として掲載され、「ヒメリュウキンカ」は小型タイプに用いることを提唱されています。

園芸種にも大型種があるようですし栄養状態による巨大化も考えられ、大型は野生種・小型は園芸種とも分けにくいと思います。
小型も花は菊咲きですからヒメリュウキンカは大小に関わらず、キクザキリュウキンカとし、小型の園芸種だけをヒメリュウキンカの愛称で呼ぶ方がわかり易いかもしれません。


追加: DNA検索
いつもコメントをいただくエフ・エム さんから貴重なコメントをいただきました。
ヒメリュウキンカのバリエーションに関してゲノムレベルでなにか違いはないかと調べていただいたのです。大変興味深いのでここに追加掲示させていただきます。
エフ・エム さんありがとうございました。

「キューガーデンのネット上のデータベース (Royal Botanical Gardens, Kew, Plant DNA C-values Database) を検索してみたところ、3系統のヒメリュウキンカのデータがありました。
 http://data.kew.org/cvalues/
仮に系統1、系統2、系統3としますと、
 系統1は染色体数16、2倍体、DNA量は1C当り9120Mbp、
 系統2 は染色体数24、3倍体、13863Mbp
 系統3 は染色体数32、4倍体、18680Mbp
とありました。
こんなことも、大きさなどのバリエーションに関係があるのではないかと思います。
また、染色体数に関しては、ミズーリ植物園のデータベースも参考になるかと思います。ちょっと検索してみましたところ、より多くの情報が得られるような気がしました。
http://www.tropicos.org/Project/IPCN

この項を書きながらDNA検索ができたら鑑別できるのではと思っていました。
いただいた資料から大型のヒメリュウキンカはやはり染色体数が異なる系統かと推察されます。
園芸種は花が大きく増殖し易い品種から、花が小さく育ちにくい品種まで、さらに花の形や色の変化もあって多種多様です。
いずれ、それぞれを染色体数で分類できるようになるのでしょうか。

追加 2012. 4. 20.
最近、近隣の数カ所のお庭にこの大型のヒメリュウキンカを見つけました。
ヒメリュウキンカ大型武田.jpg

木曽川の河川敷に自生地があるようです。
この写真からも多くの地上茎が認められます。
コメント(14) 

コメント 14

多摩NTの住人

詳しいご説明を有り難うございました。
私はヒメリュウキンカを見ているつもりでしたが、今度はじっくり観察してみようと思いました。
単に大きさでの区別は、個体差もあってわかりにくいですね。
「大型」に「ヒメ」がつくと混乱しそうです。
by 多摩NTの住人 (2012-03-13 21:29) 

703

ブログにこの花の名前を書く時、いつも悩んでいました。
整理していただいて、大きくてもヒメリュウキンカとすればいいと分かりました。ありがとうございます!
太い茎に枝分かれして花が付くのは、古株になったからだと思っていましたが?小さな球根(根?)がこぼれて最初に咲くのは、ヒメリュウキンカと呼んでもいいぐらいのサイズ。もちろん一茎一花。年ごとに株が巨大化して、草丈も30㎝ぐらいになるのがあります。
また明日ゆっくりとヒメリュウキンカをのぞいてきます!
by 703 (2012-03-13 21:45) 

夕菅

多摩NTの住人 さん コメントありがとうございました。
大型のヒメリュウキンカにヒメをつけるのはやはり抵抗がありますね。
私はよそへ確認にも行かず、1株のことだけを記録してしまいましたので、どうぞあちこちで「じっくり観察」して下さいますようお願いします。

by 夕菅 (2012-03-13 22:45) 

夕菅

703 さん ご協力ありがとうございます。
703さんのブログの「”大型のヒメリュウキンカ”という表現の矛盾」がやはり私にも感染して悩みました。
だったら全部「キクザキリュウキンカ」にしてしまったらいいのではと思い至ったわけですが、実はこの名前は今回初めて出合ったものでした。一般にはまだ余り知られていないようですね。
703さんのブログの大型種、どうぞ葉をかき分けて茎の根元の辺りを見て下さいね。
by 夕菅 (2012-03-13 23:30) 

703

うちのは1本の茎に6本の花茎が出ているのが最高でした。やはり経年でそうなるように思います。
by 703 (2012-03-14 20:39) 

とんとん

水辺に奇麗な黄色い花を見つけて寄って見るとヒメリュウキンカと言うことが良くあります。
それは大型だったのか、普通のヒメだったのか・・・
茎の様子を今度観察してみましょう。

めったに出会えないお花なので、見ても分からないかも。
似た花にエンコウソウと言うのも一度見たことがあります。
by とんとん (2012-03-14 21:22) 

夕菅

703 さん 観察結果をお報せいただいて本当にありがとうございました。
後でちょっと見苦しい写真を追加しましたが、うちのも2節目は最も多いところで6〜7本です。
やはり703 さんとこの”大型のヒメリュウキンカ”とうちの新株とは同じ系統のようですね。山地に自生している大型種の子孫かと思います。
たしかにこれだけたくましいとヒメは付けず、キクザキリュウキンカとしておきたくなります。
1年目は一茎一花で園芸種と区別できないということですね。
by 夕菅 (2012-03-14 21:49) 

夕菅

とんとん さんが水辺でごらんになったのは、ひょっとしたらリュウキンカかもしれません。
たいてい花弁の数でわかります。5枚でしたらリュウキンカ(立金花)。
エンコウソウ(猿猴草)は花はリュウキンカとそっくりですが、直立せず、茎がテナガザルの腕のように地に這って伸びる近縁種です。
by 夕菅 (2012-03-14 22:12) 

エフ・エム

大変詳細な観察、明瞭な写真によるご説明、興味深く拝読いたしました。
ヒメリュウキンカの中のバリエーションがあることは初めてしりましたが、ゲノムレベルでなにか違いはないかと思い、キューガーデンのネット上のデータベース (Royal Botanical Gardens, Kew, Plant DNA C-values Database) を検索してみたところ、3系統のヒメリュウキンカのデータがありました。
仮に系統1、系統2、系統3としますと、
系統1は染色体数16、2倍体、DNA量は1C当り9120Mbp、
系統2 は染色体数24、3倍体、13863Mbp
系統3 は染色体数32、4倍体、18680Mbp
とありました。
こんなことも、大きさなどのバリエーションに関係があるのではないかと思います。
by エフ・エム (2012-03-16 23:20) 

夕菅

エフ・エム さん 貴重なコメントをいただきまして本当にありがとうございました。
ネット情報ではこれ以上わからなくなって、あとはDNA鑑定かと思っていました。
奇しくも今、庭にあるヒメリュウキンカを3種にわけることができます。
 大型種:2節3節と花茎を伸ばす自生種の系統。花4cm。
 中型種:繁殖力旺盛な園芸種? 花の直径4cm。
 小型種:花の直径3cm以下の園芸種。増殖しにくい。
但し、園芸種は多種あり中型と小型は分類しにくいと思います。
根にも違いがあるかもしれませんが、株数少なくまだ見ていません。
花を楽しんでいればいいのに、また深みにはまりました(笑)。
DNAから解明されればすっきりします。
by 夕菅 (2012-03-17 00:25) 

桜ヨッシー

ご訪問ありがとうございました。
ご自宅で育てて見えるなんて羨ましいです。
花の区別は難しいですね。
河川環境楽園などで花を見て楽しんでいます。
by 桜ヨッシー (2012-03-17 13:00) 

夕菅

桜ヨッシーさん、お訪ねいただきましてありがとうございました。
もう山歩きや広大な植物園歩きはできなくなって、庭に地植え出来る植物を集めて楽しんでいます。
近郊をあちこち探索される桜ヨッシーさんのブログを見つけて楽しませていただいています。これからもどうぞよろしくお願いします。
by 夕菅 (2012-03-17 16:51) 

エフ・エム

私のコメントの内容を本文に追加下さり、ありがとうございます。
書き忘れましたが。キューのデータベースは
http://data.kew.org/cvalues/

また、染色体数に関しては、ミズーリ植物園のデータベースも参考になるかと思います。ちょっと検索してみましたところ、より多くの情報が得られるような気がしました。
http://www.tropicos.org/Project/IPCN
by エフ・エム (2012-03-17 18:04) 

夕菅

エフ・エム さん 
追加記事をお許しいただいた上にさらなる情報をありがとうございました。
今ちょっと覗いてみましたが私では使いこなせないようです。すみません。
でももう一度追加記事に追加させていただきました。
by 夕菅 (2012-03-17 19:00) 

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