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カンナ [草花(夏秋)]

カンナ
 学名 Canna indica hybrid
 別名 ハナカンナ

一般のカンナは全て前述のダンドクから作り出された園芸種だそうです。
ダンドクの記事を書こうとした時、花の構造がわからなくなりました.
花数の少ないダンドクの代わりに先ずカンナの花を調べることにしました。
うちの駐車場の隅に植えた覚えのない赤いカンナが毎年咲きます。
これならうちのものですし、花数多く摘んでも目立ちませんので観察向きです。

カンナ2012wb.jpg

カンナの花は1茎に数輪が次々と開花します。
近づいても大きな花弁ばかり見えて、やはり雌しべも雄しべも判りません。
カンナ2012-1wb.jpg

文献を調べてみました。
驚いたことにこの大きな花弁だと思っていたものは、雄しべが変化したものでした。
咲いたばかりの花を観察してみます。
花弁化した雄しべは全部で5枚、1〜5までマークしました。
花粉を出した雄しべの葯が1本、真ん中に見えます。
雌しべはその右にあって花粉がべったりついています。
さらにその右に白っぽく尖って見えるのが本来の花弁です。
でもこれではわかりにくいですね。
カンナ花の構造wb.jpg

開花しそうな蕾を採って開いてみることにしました。
カンナ蕾花粉有1wb.jpg

まず小さな萼3枚を外し右下に置きました。
その上へ黄色っぽい舟形の花弁を3枚。
赤い花弁と見える雄しべはきりりと卷いています。そうっと1枚づつまず4枚外しました。
5枚目は小型で左端に本来の雄しべが付着し、黄色の模様があります。これは右から4枚目に置きました。
真ん中の黄色いのが雌しべで、下部に子房があります。
カンナ蕾過塾4wb.jpg

中央部を拡大します。
黄色で先端だけ赤いへら状の雌しべに白い花粉がついています。
右の雄しべの葯はすでに花粉を出し終わっています。
開花する前に受粉は終わっていたのです。
カンナ蕾過塾2wb.jpg

もっと若そうな蕾を開けてみました。
カンナ蕾1wb.jpg

雌しべは先の尖ったへら状ですがクリーム色で柔らかい。
雄しべの葯は未開、大きく艶やかです。花糸は隣の花弁状の雄しべと合着しています。
若い雄しべと雌しべが確認できました。
カンナ蕾花粉未2wb.jpg

さらに花粉が出始めた状態の雄しべが見たく、少し膨らんだ蕾を開きました。
カンナ蕾過塾wb2.jpg

花弁状の雄しべを4枚はがすと、雄しべの葯が雌しべに斜めにぴったり付いていました。
カンナ花粉スタンプ1wb.jpg

これをそっと剥がすと、葯は開いていて花粉が出始めていました。
雌しべをよく見ると葯が着いていた跡に花粉が斜めにうっすら付いています。
花粉が成熟するとすぐ、接している雌しべに直接付着するようです。
まるで花粉スタンプです。
カンナ花粉スタンプ3wb.jpg

これは前の記事のダンドク の花。最後の花の拡大像です。
左の雄しべの花粉が右の雌しべの右肩にスタンプを押したように付着していました。
上のカンナの3枚目の花や、一つ目の蕾の雌しべ雄しべと同じ状態です。
未熟な雄しべは雌しべに接した状態で蕾の芯になり、その周りを花弁化した雄しべにきりりと卷き上げられ、成熟して葯が開くと花粉は直接雌しべにスタンプされるのではと想定されます。
ダンドク花8wb2.jpg

こちらはカンナの果実です。ダンドクと異なり、カンナは1花序がほとんど同じ頃に咲くので、同じような大きさの果実が多数並んでいます。
天辺には3枚の赤っぽい萼が花のように残っています。
カンナ果実wb.jpg

カンナは昔から見慣れた花ですが、花のつくりを考えたこともなく過ごしてきました。
子どもの頃、大きな細長いサツマイモのような根茎を植えたのを覚えています。
カンナの繁殖は根茎を主としていて、種子は予備手段なのでしょうか。
とするとスタンプ方式は最も無駄のない自家受粉と思えます。
これらは一般に他家受粉を優先する植物界にあって例外的ですが、ダンドクでは種子は完熟しています。たとえ根茎が無くなっても種子で確実に子孫を繋げます。
コメント(14) 

コメント 14

703

花を一見すると別物のように見えるカンナとダンドクですが、
こうして分解して見せていただくと、
構造が同一なのはもちろん、一番中の雄しべが変化した花びら状のものは、模様が似ていて、なるほど原種に間違いないと分かりました。

来春はオープンガーデンの来場者に、知ったかぶりをして説明してあげられます(笑)
詳細な説明、本当にありがとうございました。
by 703 (2012-10-22 22:48) 

とんちゃん

その後の観察はどうなのかとずっと待っていました!
カンナとダンドクとはやはり同じ造りなんですね
開くときにはすでにスタンプが押されて一仕事終わっていたなんて!
このスタンプ方式は確実で懸命だと思いました。
子孫を残すという使命の原点を遂行しているなとも思えました。
今まではカンナの花のことなど見向きもしなかったのですが夕菅さんのお陰で新境地に入ったような感じ
分かりやすく分解していただいてありがとうございます。
雄しべが花粉を出す前ってつるっとしているように見えました。
「ああ、カンナが咲いてるな」からこのカンナももう授粉済みなのか~と見方が変ってくると思います。
by とんちゃん (2012-10-23 08:30) 

多摩NTの住人

こんにちは。
これはとても勉強になりました。
そこらにある図鑑より、本当にタメになりますね。
by 多摩NTの住人 (2012-10-23 08:49) 

夕菅

703さん 
いただいたダンドクから、放置されていたカンナを見直しましたところ、派手な衣装の下は同じでした。
ダンドクからカンナに至るまでの園芸家達の努力は並大抵ではなかったように思えますが、こうして園芸種は隅に押しやり、原種を珍重する者が増えているのは皮肉ですね。
まさに歴史は流転する!
私も自分が辿り着いた知識だけを知ったかぶりして説明してますよ。
by 夕菅 (2012-10-23 08:52) 

夕菅

とんちゃん お待たせしました!
カンナとダンドクとは根本的には同じ構造だろうとは想像していたのですが、蕾の段階で既に花粉が出尽くして、いつも同じく雌しべの右肩に斜めに花粉スタンプがあることは驚きでした。
カンナの蕾の中まで確認した画像は検索しても見つかりませんでした。
蕾の大きさからは花粉が出たか否かはなかなか判らず、いくつかの蕾を犠牲にしました。
葯が開く前の雄しべは、本当に柔らかくすべすべです。その頃は雌しべもさらっとしています。同時に成熟するのでしょうね。
画像を省きましたが、雌しべの先は柱頭らしく始めに粘液が出るようです。

by 夕菅 (2012-10-23 12:51) 

夕菅

多摩NTの住人 さん コメントありがとうございました。
また一つのことに熱中しておりました(笑)。
調べてみるとネット情報のみならず、出版されているものの中でも異なる情報があることも多く戸惑います。
私自身も間違った情報を発信しないようにとは思うのですがきっと誤りが多々あるでしょう。気がつかれましたらどうぞお教え下さいますようお願いします。

by 夕菅 (2012-10-23 12:53) 

ebisu-mama

おもしろい!!!
夕菅さんが夢中になって、花を開いている姿が目に浮かびましたよ。
出来れば、その場に参加させてもらい、ドキドキを体験したかったわ


by ebisu-mama (2012-10-24 10:52) 

satton

原産地が熱帯アメリカのようですから、こちらでは育ちませんね。花屋さんでも見たことがありません。花のつくりを詳しく見せていただいて興味深かったです。花粉がスタンプされている様子など観察力がすばらしいです。
by satton (2012-10-24 12:56) 

夕菅

ebisu-mama さん 一緒に蕾を1枚づつ剥がしたかったですね。
「えっ?」とか「うわー」とか言って笑いながら。
ebisu-mamaさんの好奇心あふれる目が見えるようです!
by 夕菅 (2012-10-24 18:28) 

夕菅

satton さん 北海道にはカンナはないのですね。
大きくなる品種のカンナはこちらでも庭の花壇では作りづらく、公園などのような広さがないと維持できないと思います。
うちのは駐車場の隅にあって遠くから眺める花として番外扱いでしたが、今回初めてしっかり観察させてもらいました。
by 夕菅 (2012-10-24 18:48) 

エフ・エム

たいへん示唆に富んだ記事ですね。写真もひじょうにはっきりしていますし。
カンナがダンドク由来のものであることなど全くしりませんでした。カンナの野生種はなかったのですね。
開花前に受粉が終わっているとすると、他家受精は必要がないように思えますが、園芸種になってからこうなったのでしょうか。ダンドクでは他家受精も起こっていたのか。
もうずいぶん前のことですが、つくば万博(科学博)の前に、当地の道路に沿って、カンナが植えられていたのを思い出します。カンナ街道でしたが、もう残っていないでしょう。
by エフ・エム (2012-10-25 07:24) 

夕菅

エフ・エムさん、コメントありがとうございました。
つくば万博、私も行きました。なつかしいですね。残念ながらカンナ街道の記憶はありません。街道には華やかで良い選択ですね。
あの頃はつくばエクスプレスはなくて土浦廻りでたいへんでした。

カンナはすべて園芸品種だそうです。しかも蕾の中で受精するダンドクの品種の改良はどのように行われたのでしょう。
カンナの大きな花弁ができるまでにはヨーロッパの園芸家達の忍耐強い歴史があったのだろうと想像されます。
by 夕菅 (2012-10-25 17:40) 

とんとん

子供のころ夏の花と言えば原色のカンナ。
気持ちの悪い花だと思って見ていましたが、仕組みが分かるとほっとします。^^
たった1個の葯で開花の前に完璧に受粉をするって凄い仕組みですね。
丹念に観察されて感服します。
自家受粉をする花と他言家受粉を目指したい花と有るようですが、今年ゲンノショウコの雌蕊雄蕊を見たところ、100%の結実率はほとんど自家受粉によるところの様でした。


by とんとん (2012-10-26 12:55) 

夕菅

とんとん さんはゲンノショウコを観察されていたのですね。
やはり自家受粉は圧倒的に効率が良いのでしょうね。
自家受粉・他家受粉について考え始めたら、植物の多様性に混乱してさっぱり判らなくなってしまいました。
確実に結実する閉鎖花がある一方、テイカカズラのようにたくさん花を咲かせながら結実率は極めて低いものもあります。
カンナはたった1本の雄しべでも、開いたら花粉がよく見えたから明解でしたが、今見ているフウセントウワタの花粉は見るのもたいへんです。
by 夕菅 (2012-10-27 08:14) 

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