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ハクモクレンとサラサモクレン  [花木(春)]

ハクモクレン
  白木蓮
  モクレン科モクレン属の落葉高木
  学名: Magnolia heptapeta
  原産地:中国南西部

今年、庭のハクモクレンはヒヨドリにもあまり食べられず、遅霜による変色もなく、たくさんの花を見せてくれました。
ハクモクレンの花についてはすでに2009.3.21.のブログに載せましたが、今年は雌しべ雄しべに注目、さらに書き足すことにしました。
3月中旬、毛皮の外套のように厚い托葉が落ちると白い花弁が現れます。

ハクモクレン綻ぶwb.jpg

白色といっても淡いクリーム色のふんわりと優しい色合い。
ハクモクレン蕾wb2.jpg

花被片は萼片が3枚と花弁6枚の9枚。萼片と花弁は区別できません。
中央に多数の雌しべ、周りに多数の雄しべが並んでいるようです。
ハクモクレン開花3wb.jpg

きれいに開花した1輪。
上の花の雌しべと少し違うようです。拡大してみましょう。
モクレン1輪2wb.jpg

真っすぐ上を向いていた雌しべがくるりと前屈しています。
モクレンでは花柱全体の腹側が柱頭面だそうです。
柱頭に花粉を受ける体勢です。
モクレン1輪雌しべwb.jpg

モクレンは雌性先熟の両性花。
雌しべは受粉後反転してもとの位置に戻ります。
そのあとに雄しべが花粉を出し始めます。
自家受粉を避ける仕組みです。
ハクモクレン花粉1wb.jpg

雄しべはへら形で葯は側面にあります。
この花では左側の雄しべ達の側面に細長い葯から線状に花粉が出ています。
右下の雄しべ達の葯はまだ開いていません。
花被片・雌しべ・雄しべが螺旋状に配列していることがモクレンの特徴のひとつです。

追加:螺旋状の配列は植物の古い形質を表わす基本といわれます。
モクレンが被子植物の中で最も原始的な植物といわれるのはこの特徴があるからです。
ハクモクレン花粉1wb3.jpg

役目を終えた雌しべと雄しべ。花被片はすでに散りました。
花床(花托)から多数の雄しべ、花軸から多数の雌しべが出ていることがわかります。
ハクモクレン花芯1wb.jpg

満開の頃。ハクチョウを連想します。
ハクモクレン開花4wb.jpg

見上げる花は後姿。
まだ托葉を付けている花もあります。
ハクモクレン後姿wb.jpg

5月、美しい緑色の葉と若い果実。
ハクモクレン花後0805wb.jpg

10月、部分的に膨らんだ赤い果実。
ハクモクレンの実0810wb.jpg

膨らみが割れてオレンジ色の種子が覗いています。
ハクモクレンW種wb0810.jpg

サラサモクレン
 シモクレン Magnolia quinquepeta の園芸品種
 古い日本の庭に見る紫赤色のシモクレンに比べ、明るく軽い感じです。
この苗はT種苗の通販で購入したものでラベルの表示は「レッドラッキー」でした。
2009.3.22.のブログには「レッドラッキー」として載せました。
しかし今回調べてみてこれはハクモクレンとシモクレンの雑種サラサモクレンの一品種とした方がよさそうな気がしました。
花はハクモクレンより数日遅れて咲きます。

咲き初めの頃。花弁の内側が白っぽい。
モクレン開花wb.jpg

満開の頃。
シモクレンは9枚の花被片のうち萼に由来する3枚が小さいそうですが、この雑種もそういえば外側の3枚は少しl短いようです。
モクレンP2wb.jpg

まだ半開の花をのぞくと雌しべはすでに柱頭面を見せて前屈していました。
モクレン雌しべ
2wb.jpg

雌性期後半。
雌しべは中央の花軸に接するように戻っていきます。
モクレン雌しべ雄しべwb.jpg

雄性期。
花弁の一部を取り除くと雄しべ側面の葯の縁に線状に花粉が付いているのが見えました。
右上部の葯は未開のようです。
雌しべは細くなって花軸にまとい付いています。
モクレン花粉4wb.jpg

何年もモクレンの花を見てきたのに、ふと「モクレンの花粉は?」と自問。
今までその目で見てこなかったことに気付きました。
すでにハクモクレンは散ってしまい、サラサモクレンも満開を過ぎていました。
文献を調べて、過去の画像を拡大したり、サラサモクレンの花弁を写した写真を追加したりして自分ではおおよそ納得できました。
へら状の雄しべはカンナと同じです。
こんな奥の方に花粉が出ているとは気付きませんでした。

(文中托葉など下線部は 「朝日百科植物の世界モクレン科」の用語を引用しました。)

コメント(14) 

コメント 14

703

純白のハクモクレンでよかったですね。
こちらは花びらの端が茶色に変色して、イマイチでした。
早く咲き過ぎて寒さがぶり返したからでしょう。
1年に一度の出合いなのだから、一番いい姿を見せて欲しいですよね(笑)
花弁はとうに散ってしまいましたが、まだ雄シベ(?)が落ちています。

モクレンにもいろいろ種類があるようですね。
先日、鳴門の椿園で黄色のモクレンを見てきました。


by 703 (2013-04-03 22:50) 

夕菅

703 さんとこの方が暖かいはずなのに、たまたま寒い日があったのでしょうね。
モクレンの美しいのは1年のうちほんの1週間ほど。
せめてその期間中は遅霜やヒヨドリの被害を受けず、白く気高く咲かせてやりたいものです。
うちの黄色のモクレン(金寿木蓮)は1か月後に咲きます。
by 夕菅 (2013-04-04 00:15) 

多摩NTの住人

こんにちは。
いつもながらの、詳しいご説明でよく理解でしました。
図鑑でもここまでの説明はありませんね。
by 多摩NTの住人 (2013-04-04 08:27) 

とんちゃん

夕菅さんがモクレンのことを調べられていると聞いてから楽しみにしていました。
めしべが面白いですね。
受粉したら元の位置に戻るなんて!
もしかしてまだあまり開いていないときに昆虫が入って受粉を助けているのかな!というようなことも想像していました。
花がつぼみのうちに雌しべは成熟してしまうという記述があったような気もします。
半開状態のときにすでに雌しべには準備が整っている或いは熟しているともいえそうですが・・・
カンナと同じような構造なのかな~ということを私も考えていました。
雄しべに花粉がいっぱいついているところ!こういうのが見たかったのです!
それに果実のふくらんでいるところは虫こぶ?とも素人は思ってしまいそう
緑色をした若い果実は美しいですね。
いつもながらの詳しいことを教えていただいてありがとうございます。
来年は私もモクレンの花粉をよく見るようにします!
by とんちゃん (2013-04-04 08:52) 

satton

両性花では自家受粉を避けるためのいろいろな仕組みがあって興味深いです。そもそも進化の過程で両性花がどうして生じたか不思議です。雌雄異株よりずっと多いですね。
by satton (2013-04-04 10:49) 

夕菅

多摩NTの住人 さん コメントありがとうございました。
モクレンの仲間は外からは雄しべが見難く、写真を撮ってもふつうは花粉が写りません。
自分の庭の花ですから花弁を取って写すことも出来ましたが、公園や植物園の花ではむつかしいでしょうね。

by 夕菅 (2013-04-04 17:37) 

夕菅

とんちゃん ご出立前のお忙しいときにコメントありがとうございました。
いざ書こうとしたとき植物学の基本用語がわからず難儀しました。
ご推察通り私も雌しべはカンナと同じく蕾のうちに成熟するのではと思います。
半開の時すでに雌しべはお辞儀をしていました。
こんなに花が咲いても実際に種子ができる割合が低いのは、蕾のうちに入り込む昆虫が少ないからでしょうね。
by 夕菅 (2013-04-04 17:56) 

夕菅

satton さんコメントありがとうございました。
ブログを書き始めて初めて両性花とか雌性先熟とかを意識するようになりました。でも本当はわからないことばっかりです。
植物にもまるで知能や意思があるかのように自家受粉を避ける様々な工夫があるかと思えば、正反対の閉鎖花もあって、悩ましいですね。




by 夕菅 (2013-04-04 18:23) 

花咲かばあさん

青い空をバックに真っ白いハクモクレンは
素晴らしい景色ですね。冬枯れの裸木の先に本当、「毛皮の外套」、ぴったりですね。それを脱ぎ捨てると聖らかな白いドレスをまとった妖精のよう、気高さがありますね。
白鳥を連想されたのですね。
白鳥の踊りですね。小枝に灯りをともしたようにも見えませんか。

寒さが残る浅い春に咲く花ですが、今年はきびしい寒さのせいでしょうか
桜が盛りと咲く今、あちこちでまだモクレンが咲いています。
花に嵐のたとえのように、春は花にはむごい季節でもあって,くやしい思いをすることもたびたびです。
くわしい花の作りも教わりました。

by 花咲かばあさん (2013-04-05 00:21) 

夕菅

花咲かおばさん コメントありがとうございました。
「聖らかな白いドレスをまとった妖精」ぴったりですね。
今年は特に汚れのない純白のドレスでした。
今にも咲きそうな頃は「小枝に灯りをともしたよう」ですね。
いつもそのような詩的な写真が撮りたいと思うのですが及ばず、つい部品の分解のようなことになってしまいます。
もっと長くいてほしいのに妖精達はいつも駆け足で退場するのが残念です。
今年は花の順序が狂って、うちでもヤエザクラが散る頃モモが満開になりました。

by 夕菅 (2013-04-05 08:31) 

エフ・エム

ハクモクレンをモデルにモクレン科の花の構造や成熟過程がたいへんよく分かる画像と説明。いつもながら感嘆しています。
モクレン科は現存の被子植物の中ではもっとも原始的と言われていますが、すでに花にはきちんとした受粉の工夫がほどこされているところは興味があります。こんな仕組みはより以前の段階でどう獲得してきたのか、分かればおもしろいですね。
by エフ・エム (2013-04-05 08:36) 

夕菅

エフ・エムさん コメントありがとうございました。
モクレンの雄しべや花粉を検索しても易しい説明が少なかったので、忘れないために書くことにしました。
間違った記述がありましたらお教えいただけますようお願いします。
「モクレン属は白亜紀の化石がある」そうです。こんな頃にも自家受精を避ける工夫があったとは驚きます。
受粉を助けるのは甲虫という文献がありますが、まだ昆虫には出会えません。

by 夕菅 (2013-04-05 12:31) 

とんとん

しっかりコメントしたはずが、無くてショック。
数字の入力を忘れたのでしょう。
ここのところテンション下がりっぱなしで、ブログ更新の方もままなりませんが、こちらでお勉強はさせていただかなくては。

モクレンの蕊が豪華に見えますが、らせん状とは気づきませんでした。
雌蕊の側面が柱頭、カーブして受粉してから又真っ直ぐになるというのも興味深いですね。
雄蕊も全体が葯の様に見えて、へら状と言うのも変わっています。

サラサモクレンは子供の頃馬のベロなんて言うので不気味な感じがして遠ざかっていました。
昔はハクモクレンは身近では見かけなかったような気がします。
by とんとん (2013-04-10 22:34) 

夕菅

とんとん さん コメントありがとうございました。
モクレンの蕊は今まで殆ど見てなかったことに気付いて今年は注目してみました。
雌しべは花柱の腹側が柱頭でくるりと前屈すると柱頭が外側へ向くのですね。雄しべは側面に葯があります。
「馬のベロ」なんて言ったのですか。
たしかにモクレンはあまり美しい花とは思わなかったですね。
by 夕菅 (2013-04-10 23:56) 

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