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ネジバナ  [草花(夏)]

ネジバナ
 捩花 
 ラン科 ネジバナ属の多年草
 学名:Spiranthes sinensis var. amoena
 別名:モジズリ(綟摺)
 草丈:10〜40cm

植えても種蒔きしてもいないのに、いつの間にか芝生にネジバナが咲くようになりました。
芝生の中ではあまり大きくならず邪魔にもならず、優しいピンク色は芝生の緑とよく合います。
学名のSpiranthesは ギリシャ語の 螺旋(speira )と花 (anthos)に由来するそうですが、まさしく小さな花が螺旋状に咲き登っていきます。
ネジバナ全景2013-1wb1.jpg

ネジバナは芝生の間が好きな花です。
芝生のカタバミは嫌われ者ですが、ネジバナは芝刈り機からも守られて年々殖えています。
カワラナデシコが先に住み着いたオオバボダイジュの木陰に昨年から目立つようになりました。
ネジバナ2012wb2.jpg

今年はさらに殖えています。炎天下よりやはり寄らば大樹の蔭ということでしょうか。
ネジバナには右巻きも左巻きもあり、捩じれていないようにみえる例外もあるそうです。
ネジバナ群2013wb.jpg

仲良く並んで双生児のようなペアー。
花はピンクと白の2色の濃淡でさっぱりしたつくりです。
ネジバナ2011-1wb.jpg

ランの花は萼片3枚と花弁3枚が基本です。
ネジバナはラン科といえどもわずか5mmほどの小さな花です。
花の構造はどうなっているのでしょう?
ネジバナ2011-2wb.jpg

真上に背萼片1枚とその下に重なるように側花弁2枚、横に伸びる側萼片2枚、大きな白い唇弁1枚。やはり萼片計3枚、花弁3枚(うち1枚は唇弁)。
小さくてもランの花の構造を受け継いでいました。
花の真ん中の奥の方にやや黄色く見えるのが花粉塊です。
ラン科の花粉塊については昨年シランの項に書きましたが、ネジバナにも花粉塊があったのです。
ネジバナ花粉塊4wb.jpg

1花採って上の背萼片と側花弁をおしのけて蕊柱をあらわにしました。
先端に小さな黒っぽいクリップを付け、2つに分かれている黄色い部分が花粉塊です。
昆虫が花に入ると花粉塊が昆虫の背にくっついて他花に運ばれます。
ネジバナ花粉塊wb.jpg

これは箸ではありません。最も細い竹の爪楊枝の先を花に突っ込み花粉塊を付着させたところです。
花粉塊に触れるともろくてすぐ壊れてしまいます。
1mmあるかなしかの花粉塊、老眼には厳しい作業でした。
ネジバナ花粉塊9wb.jpg

ネジバナの花はピンク色ですが花によって濃淡があります。
この花はやや濃いピンクです。
ネジバナ花2013wb.jpg

今年は初めて白花を見つけました。
ネジバナ白花1wb.jpg

殆ど白色ですが一部の花弁にうっすらと淡いピンクを認めます。
シロバナネジバナと言えるかどうか?
でも清楚な白花、もっと殖えてほしいものです。
ネジバナ白花2wb.jpg

花を覗くとやはり花粉塊がありました。
ネジバナ花粉塊W2wb.jpg

葉は5〜6枚、細長くやや厚めです。文献によればこれは夏葉だそうです。
ネジバナは常緑で冬は短く丸っぽい葉。春になると冬葉の間から夏葉が出て交代、秋には冬葉が出て夏葉は冬枯れるそうです。
ネジバナ葉2013wb.jpg

だんだん花は上の方だけになり、下ではぷっくりした果実ができています。
ネジバナ果実2wb.jpg

もう種子が出来ているでしょうか?
一番下の果実を採って開いてみました。
ネジバナ果実1wb.jpg

黒っぽい粉が飛散しました!
埃か砂のように細かい粒です。
これが種子なのでしょうか?
ネジバナ種子wb.jpg

顕微鏡で見ることにしました。
確かに種子です。中心に楕円形の影、前後に薄い羽根のような翼があります。
これなら風にのって遠くへ飛べそうです。
ネジバナ種子3wb3.jpg

芝生の他、ヒメイワダレソウも好きなのか、駐車場の隅のヒメイワダレソウの間にも1叢育っていました。
写真を撮ろうと思いつつ時期を逃し、すでに茶色になっています。
ネジバナ枯れ花リピアwb.jpg

おやおや、果実はもう殻だけ。
ネジバナの蒴果は天辺は開かず、脇の裂け目から粉のような種子を飛ばすようです。
ネジバナ枯果実wb.jpg

小さな野生のラン、ネジバナ。
よくよく見ると興味深い花でした。
これを殖やそうと思うとまたまた難題があります。
ランの種子はこんなに小さく、発芽に必要な養分を蓄えた胚乳をもっていません。
このためランはその根に寄生するラン菌と共生し、発芽時にはラン菌が種子に栄養分を補給するのだそうです。
ネジバナの種子もそのまま蒔いても育たず、ネジバナが育っている所や他のランの株元に蒔くと育ち易いといわれています。
(ひとり言:芝生の間の初めの1株はどうして育ったのでしょう?)
近年のラン栽培のプロ用にはそれぞれのランに対応した 無菌播種用培地が用いられているようです。
コメント(17) 

コメント 17

多摩NTの住人

こんにちは。
またまた素晴らしいレポートで、たいへん勉強になりました。
白花も見られて良かったですね。
先日、皇居ランをしていたら、二重橋前あたりの松の樹が植えられている芝生に、たくさんのネジバナが伸びていました。
by 多摩NTの住人 (2013-07-12 08:33) 

とんちゃん

美しいネジバナですね!
小さくても立派なランだと証明されてネジバナにとっても嬉しい限りで咲いてくれると思います。
爪楊枝の先だったのですね。お箸かと思ってしまいます!
それくらい小さな花粉塊ということですね。
種子といったら粉状にしか肉眼では見えませんが翼がついているなんてちゃんと分かりました!
たまに2本くらい立っていてうまい具合にシンクロしているネジバナを見ることがあります。
ねじれ方もそれぞれで面白いですね 白は滅多に見ることがないです。
白って見つかるとつい特別なものを見たような感動を覚えます♪
by とんちゃん (2013-07-12 14:50) 

夕菅

多摩NTの住人 さん コメントありがとうございました。
庭の花々もおおよそ記事にしましたが、ネジバナは保留になっていました。
先日多摩NTの住人 さんのブログで拝見して気になっていましたが、ピンクの花の終わる頃白花を発見、俄然元気が出てネジバナに没頭しました。
皇居の芝生のネジバナも芝刈りを逃れて殖えているのですね。

by 夕菅 (2013-07-12 18:37) 

夕菅

とんちゃん コメントありがとうございました。
以前から宿題になっていたネジバナ、書くなら花粉塊の画像もと思うとなかなか着手できませんでした。
今回は白花パワーでやっと小さな花に取っ組むことができました。
写真では菜箸くらいに太く見える竹製爪楊枝、それでも太すぎたほど花粉塊は小さく難儀しました。
ネジバナの種子は初めて見ましたので翼を確認した時は感激でした。
by 夕菅 (2013-07-12 18:52) 

satton

ネジバナは我が家の庭でも思いがけないところで花を咲かせます。小さな花をよくもまあ調べましたね。私なら時計屋さんのようなルーペをつけなければ扱えません。
by satton (2013-07-12 19:52) 

夕菅

satton さん コメントありがとうございました。
北海道のお庭でもこの花が咲いているとはうれしいですね。
ネジバナはシベリアから熱帯まで世界中で咲いているようです。
今回は庭とパソコンの間を何度も行き来しましたので、風に乗って運ばれ好きな所でひっそり咲く素朴なこの花がよりいとおしくなりました。
by 夕菅 (2013-07-12 23:54) 

とんとん

実に興味深いお話です。
雑草の様でもあるのに、そう沢山見られるわけでもなしと言う不思議さを感じていましたが、菌が必要な植物だったのですね。
芝生の中に菌があるのでしょうか。
小さくてもちゃんと萼が三枚、花弁が三枚そろっているとは、全く気づきませんでしたよ!

鉢の隅に以前植えて、今年は二本咲いてくれました。
増える様子もなく、消える様子もなく、です。
種の様子、真似して観察してみます。
by とんとん (2013-07-15 18:12) 

エフ・エム

ネジバナは可憐な花を咲かせる植物ですが、図鑑を見たら、樺太、シベリア、満州のような寒いところから、インドやマレーシアのような熱帯、さらにニューカレドニアやオーストラリアまでnativeに分布するのだそうで、見かけによらず強い適応力をもった植物なんですね。
以前ネジバナの左巻き、右巻きについて記事にしたのを思い出しました。
http://michikusanojikan.at.webry.info/201006/article_12.html
by エフ・エム (2013-07-15 20:25) 

夕菅

とんとん さんコメントありがとうございました。
庭にかってに生えてくる野草は嫌われ者が多いですが、ネジバナは歓迎されるから不思議です。
ブログに書くとなると見直したり調べたりしますので、今まで知らなかったことが見えてくることがあります。この花もそうでした。
特にまだ緑っぽさが残っていた果実を割ったときは驚きでした。
お庭のネジバナの種子、是非見て下さい!
by 夕菅 (2013-07-15 22:32) 

花咲かばあさん

ラン科の植物と確認するには、ル-ペが必要になってきました。可憐な花を咲かせ、古今集にも「しのぶもじづり」と歌われました。
小さいながらも天に向かって咲く様は元気そのものです。強い植物ですが、うちのネジバナが数を増やさないことに納得できました。
あの種子の数を見るとニワセキショウのように増えていきそうでが、、、。
今までになかった芝の中に今年一本見つけました。
野原でも庭でも会うと思わずほっこりする花の一つですね。
白花は見たことがありませんでした。じっくり向き合って右巻き、左巻き、、、見てみましょう。

先回、紹介いただいたカメムシと同じ顔のカメムシ、イタリアにも発生していて、何枚か写真に収めてきました。「同じ-」と叫んでしまいました。
by 花咲かばあさん (2013-07-15 22:38) 

夕菅

エフ・エム さん コメントありがとうございました。
ネジバナの左巻き、右巻きについて記事、興味深く拝読しました。
これについては随分古くから研究されていたのですね。
風に吹かれて好きな所へ住み着き、右に卷くか左に卷くかもそのときばったり、暑くても寒くても大丈夫、本当に庶民的なランです!
でも何故卷くのか、これについてはさらに謎のようですね。
by 夕菅 (2013-07-15 23:16) 

703

神戸市北区の新興住宅地を歩いて通勤していたときに、ネジバナを初めて見て、可愛さに感動したことを覚えています。
それがモジズリとも言われると知り、「みちのくのしのぶもじずり誰ゆえに乱れそめにし我ならなくに」の歌と合せて、ますます好きな花になりました。
淡いピンクの小花がねじれて咲く姿に、初恋にかき乱される心を重ねた、文学的な「モジズリ」は、即物的な「ネジバナ」より粋じゃないかと思うのですが(笑)
今年ネジバナの植木鉢をもらいました。これまで何回か植えて枯らしたのですが、記事を拝見して、ごっそりと土のまま芝生に植えこもうと思った次第。ありがとうございました!
by 703 (2013-07-15 23:52) 

夕菅

花咲かおばさん お帰りなさ〜い。
イタリアにも同じカメムシがいましたか。
イタリアの空の下でカメムシを撮る女人、何だかほほえましい! 
お庭のネジバナもそう殖えませんか。
今年、うちは数も殖え、白花も加わって賑やかになりました。
小さいものを撮るのは本当に疲れますね。

by 夕菅 (2013-07-16 00:33) 

夕菅

703さんコメントありがとうございました。

さすがにすでに「モジズリ」をご存知だったのですね。
私はお恥ずかしいことに今回初めてネジバナの別名で古代の織物と知ったばかりです。

この歌は百人一首で知ってはいたものの、作者が河原左大臣で、彼は光源氏のモデルの一人と言われる人だったことも知りませんでした。
ネジバナは芝生と相性がいいようです。

でも殖え過ぎると芝刈りがむつかしくなりますね。
by 夕菅 (2013-07-16 16:13) 

とんとん

茶色のよれよれの殻を触ってみたらどれもペッチャンコでした。
全部飛んでしまった後なのか、実を結ばなかったのか、分りませんでした。
緑色のうちに、来年はよく見てみなくては。
by とんとん (2013-07-17 22:14) 

夕菅

とんとんさんが触れられた殻は茶色でしたか?
どうもネジバナは果実がまだ緑色っぽく見えるころから種子は熟して細い隙間から落ちるようです。
花被が茶色になった花穂を、下に白紙を受けながら揺すると細かい粉が落ちました。これを顕微鏡で見るとみんな種子でした。
苞まで茶色になったのでは遅いかもしれませんが、花被が茶色の花穂で種子ができているかどうか試すには便利な方法かと思います。

by 夕菅 (2013-07-18 00:01) 

ksk

それは
卵では無くて幼虫ですかね?実はありって卵から生まれてこずに、
卵→幼虫→繭→あり
なんですちょっと気になったので、コメントさせて頂きました

by ksk (2017-09-11 15:55) 

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