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ニホンズイセン−2014 [草花(冬)]

ニホンズイセン−2014
 日本水仙 
 ヒガンバナ科 スイセン属 の多年草(球根植物)
 学名:Narcissus tazetta var. chinensis 
 分布:地中海沿岸原産、中国を経て関東以西・九州の沿岸に野生化。
 草丈:20〜50cmくらい。

ニホンズイセンはこの庭と相性よく、毎年冬の庭を緑の葉と清楚な花で彩ってくれます。
スイセン花16wb.jpg

中央の黄色いカップは陽が当たると明るく輝きます。
スイセン花17wb2.jpg

例年は年末の雪で茎が倒れます。
でも今年は雪もなく花茎も伸びやか、2月初めまでは順調に咲き続けていました。
スイセン花12wb.jpg

花茎もよく伸びて50cm前後に達していました。
スイセン花11wb.jpg

ところがやはり2月8日は雪。
積もったのは数センチでしたが水分の多い重い雪でした。。
長い花茎は折れ易く、花が多いほど倒れ易く、無惨に地に伏す羽目になりました。
スイセン雪後2wb.jpg

折れた花を切り取って汚れをしずかに水で流し、萎れた花を切り取って、きれいな花だけをまず大きな花瓶に入れました。
数十本の花からあたり一面に甘い香りが漂います。
スイセン花瓶1wb.jpg

欲しい方にお分けしたあとは幾つかの花瓶に分けてあちこちに飾ります。
スイセン花瓶2wb.jpg

ほとんどが満開の花達、花壇にあるときはしゃがみ込まないと見えない顔が近くでゆっくりみられました。
スイセン7wb.jpg

ニホンズイセンの花は3が基本(3数性)。
白い花被片は内外3枚づつ、中央に黄色い盃状の副花冠があります。
中心には雄しべ6本と雌しべ1本。
スイセン1花wb.jpg

もう少し覗き込むと上の方に葯が3つ、ほぼ花粉を出し終えています。
奥の雌しべの周りにある3つの葯は花粉がいっぱいです。
雌しべの柱頭も3つに割れています。
右の葯の基部に見えるのは花糸でしょうか?
スイセン柱頭3裂wb2.jpg

スイセンの葯は花被筒に合着しているようにも見えます。
葯があるかどうか確かめるために副花冠の前部を切り取り、葯の背面を拡大して見ました。
やはり短い花糸がありました。上の画像のも花糸でよかったのです。
スイセン花糸2upwb2.jpg

この雌しべは深くまで3裂しています。
スイセン柱頭3本2wb2.jpg

花の構造を見直してみましょう。
1本の花茎に薄い膜状の苞に包まれた数個の花がついた散形花序です。
濃い緑色の部分は子房(子房下位)。
長い花被筒の先に萼3枚・花弁3枚合計6枚から成る花被片が開いています。
スイセン裏wb.jpg

花を縦に切り、副花冠1/3と上下に一つづつ葯がついた花被筒1/3を除きました。
残りの葯は上下2段に2個づつ見えています。
雌しべは1本、長い花柱が子房に繋がっています。
スイセン雄しべ断面wb.jpg

葯が未開の蕾を開いてみました。
花粉を出す前の大きな葯が上下2段に3個ずつ確認できました。
雌しべは1本ですがねじれているように見えます。
スイセン蕾3断面2wb2.jpg

開花寸前の蕾ではすでに上の葯は半分開いて花粉が出ていました。
スイセン蕾2断面wb.jpg

もう一つの蕾では花柱の上半分は3本に別れていました。
花柱3本が合着して1本の雌しべになっていたのですね。
上の画像で雌しべが大きく3裂していた花では蕾のときから合着していなかったののかもしれません。
スイセン蕾1断面wb.jpg

子房の中は多数の胚珠が2列に並んでいます。
スイセン縦断面wb.jpg

さらに子房の横断面を見てみましょう。左は上方、右は下方の断面です。
子房は3室に分かれ、それぞれ胚珠が2列に詰まっています。
左断面の中央の3つの緑色の影は花柱に繋がっているのでしょう。
スイセンの雌しべは3つの心皮が合着した複合雌しべ だったのです。
この合着が不完全だと先端が3裂することになるのでしょう。
スイセン子房割面wb.jpg

胚珠は受精後種子になるはずですが、スイセンには種子ができません。
こんなに花粉もあり、胚珠も準備されているのに何故種子ができないのでしょう。
念のため花粉を顕微鏡で見てみました。
大きさも形もまちまち、不捻性の花粉と思われます。
スイセンはヒガンバナ等と同じく3倍体なので種子はできないそうです。
無駄な胚珠や花粉をつくるのは勿体ないような気がしますが、球根が出来ないときの非常手段として機能を残しているのでしょうか?。
スイセン花粉1wb.jpg

和名はニホンズイセン(日本水仙)。
ところが学名には中国を意味するchinensisが付いています。
何故でしょう?
スイセンの原産地は地中海沿岸。シルクロードなどを通って中国へ渡り、遣唐使などにより日本に入ったと一般に考えられているからのようです。
しかし、柳宗民さんは著書「日本の花」の中で、ニホンズイセンは中国から球根が黒潮に乗って関東以西の太平洋沿岸へ、さらに対馬海流によって越前海岸などの日本海側へも漂着し野生化したのではないかと説かれています。

コメント(16) 

コメント 16

とんとん

細い花筒を縦に綺麗に切るのは難しいのに、分かり易い写真になっています。
子房の中の胚珠もきれいに並んでいて興味深いです。
なるほど、雌蕊は三本に分かれているのですね。
簡単に3裂と見てしまってはいけませんね。
雄蕊の葯の様子が面白くて興味惹かれましたが、雌蕊ウォッチングもなかなか面白そうです。
夕菅さんの詳しい観察で、勉強になりました♪^^
by とんとん (2014-02-22 17:07) 

夕菅

とんとんさん コメントありがとうございました。
ニホンズイセンの花はなかなかきれいに撮れず、取り組む元気もなく過ぎてきましたが、今年はたくさんの花に押されて2010年の記事を見直しますと余りにもお粗末、もう一度書き直すことにしました。
とんとんさんの記事は2011年、あっという間の3〜4年でしたね。
今年はお行儀の悪い雌しべが目立ちましたが、この庭のニホンズイセンだけの特殊性かもしれません。
またその目でお庭のスイセンもみていただけるとありがたく思います。
by 夕菅 (2014-02-22 21:28) 

とんちゃん

ニホンズイゼンのことですlね♪
なんだかいい匂いが漂ってきそうです
お正月用に安かったので花束にして花瓶に挿しておいたら長いこと香りを楽しむことができました。
こちらの花瓶の半分くらいの量でしたが・・・
こんなにたくさん飾れたら!!!うれしくなります。
花を縦に真半分 きれいに切れましたね~
胚珠はなんだかアリの卵みたいに見えました。
葯は上下二段になっていたなんて こうしてみなかったら分からなかったことですね。
雌蕊は元は3本が合着したものだったのですか!
はっきりきれいに写っている画像が添えられると解説もより分かりやすくなりました!
ちょっとしたことでも疑問を持って関心を寄せると展開がありますね♪ 
by とんちゃん (2014-02-23 07:41) 

エフ・エム

花の構造の写真がいつもながら見事ですね。花冠、雄しべ、雌しべ、子房までも、たいへんよく分かります。子房下位のモデルとしてもデモンストレーションに使えそうですね。
私もニホンズイセンに種子ができないのは、倍数性に関係していると思っていました。この機会にNarcissus tazztta の倍数性とC-valueをKewのデータベスで調べてみました。倍数性は2倍体とありました。したがってvar. chinensisが3倍体の亜種かも知れません。原種は種子ができるのかも知れません。C-valueは14817mvpと、かなり大きいです。興味がおありでしたら、http://data.kew.org/cvalues/
から、調べてみて下さい。

by エフ・エム (2014-02-23 10:54) 

夕菅

とんちゃん コメントありがとうございました。
お正月にニホンズイセンをたっぷり生けられたのですね。
香りもユリほど強くはなくて、玄関など暖房が届かないところでは特に長持ちしますね。
4年前の記事の断面画像があまりにもお粗末でしたので撮り直したくなりました。でも老眼では細工しにくく、この頃の皆さんのすばらしい拡大画像にはまるで及びません。
胚珠は本当にアリの卵みたいでしたよ。
開いてみるとまた新しい発見もあってまたしばし夢中になりました(笑)。
by 夕菅 (2014-02-23 13:23) 

夕菅

エフ・エム さん 貴重なコメントをありがとうございました。
せっかくご紹介いただきましたが、Kewのデータベスは基礎知識もなく難し過ぎました。
エフ・エム 先生の解説に依存させていただきます(すみません)。
なお、検索中、三輪 智先生も「シルクロードを旅したスイセン」の項で「 フサザキスイセン(Narcissus tazetta)は種子が稔りますが、ニホンズイセンは遺伝子のセットを一つ余分に持っている3倍体で、種子ができません。」と述べられていました。
http://www.bloomfield.jp/abc/0902.html
by 夕菅 (2014-02-23 14:39) 

リンちゃんママ

花の奥深さにまた魅入りました。可憐なニホンズイセンもたくさん花瓶にたてるととても素敵です。我が家の庭にはまだ数本しか咲いていないのでそっと通る度に楽しんでいますがたくさん咲いたら切って観察したいと思います。
by リンちゃんママ (2014-02-23 20:39) 

夕菅

リンちゃんママさん コメントありがとうございました。
ニホンズイセンは古風なおとなしい花ですが、これだけ集めるとさすがに華やぎました。
まだ花が少ないときは切り花にするのがためらわれますね。
花がらを摘んだ時捨てる前に割面を作ると容易に胚珠が見えると思います。
by 夕菅 (2014-02-23 23:27) 

多摩NTの住人

こんにちは。
水仙がとても綺麗ですね。
花瓶のものも見事です。
いつもながらの詳しいご説明で、とても勉強になりました。
有り難うございました。
by 多摩NTの住人 (2014-02-24 08:37) 

夕菅

多摩NTの住人 さん コメントありがとうございました。
2.19.に記事、同じでしたね! コメントしそびれてすみません。
この頃、細部の画像の撮り直しやら四苦八苦していました。
ラッパスイセンが咲いたら目立たなくなってしまう素朴な花ですが、寒中に咲くことで存在感を増しています。
by 夕菅 (2014-02-24 12:41) 

花咲かばあさん

画面から匂ってくるようです。一輪差しも素朴で風情があって好きですが、ガラス瓶に生けられた沢山の日本水仙の花、すらりと伸びた茎の様子もよくわかって、うらやましい生け花です。
寒中の花の少ない時期に、凛として咲く香り高い花は、今まで株を育てるために早めに花柄を摘んでいました。ヒガンバナと同じに種子が出来ないことを教わりました。ヒガンバナもそうなんですか。ヒガンバナには種らしいものは見かけたように思いますが、、、。
うちの庭の水仙はこの頃ようやく蕾が上がってきて咲き出しました。
背丈も低く、先ほどの雪にもほとんど被害もありませんでした。
こんな風に生けてみたいですね。長年ほったらかしが原因でしょうか、花数がどんどん減ってきました。今年は株分けをしなければ、、、と思っています。

by 花咲かばあさん (2014-02-24 19:46) 

夕菅

花咲かおばさん コメントありがとうございました。
この生け花のスイセンは折れたところから切ってあるのですが、2カ所折れているのもあり、前や横の花に支えさせてあるのです。
でもスイセンは強くて途中で折れていても水揚げ良く、花序の最後の一花まで咲き続けます。
ヒガンバナに果実が出来ることがあるということは他の方のブログで読んだことがあります。
でもうちでは倒れなかったスイセンは咲き終わってから茎を切っていますので、果実が出来る場合があるかどうか全くわかりません。
うちのスイセンは殆ど株分けもしていません。但し葉は出来るだけ長く切らずに残しています。それでも毎年元気に咲くのですが、ハナミズキの下では背が伸びず花も少なくなっています。
by 夕菅 (2014-02-24 22:17) 

703

今回も興味深く読みました。
スイセンは親しい花なので、「3数性」というタイプだと、
言われるとそうだとは分かる程度には、花を見ていましたが、
知らないことがいっぱいでした。
その言葉を知り、分解写真を見ていくと、納得。
花の世界も奥深くておもしろいですねえ!
スイセンの球根が黒潮に乗って、淡路島の南の海岸に流れ着いたのでしょうか? 海水だと腐らないのかなあ?
by 703 (2014-02-27 13:25) 

夕菅

703さん コメントありがとうございました。
こちらは今日は終日雨、淡路島も雨で久しぶりの休日でしょうか。
水仙の三大自生地は 灘黒岩(兵庫県)・爪木崎(静岡県)・越前海岸(福井県)だそうですね。
中国から日本へ球根が海流に乗って漂着したとする説にはロマンがありますが、確認には至ってないようです。
たしかに先ずは海水との相性を確かめないといけませんね。
by 夕菅 (2014-02-27 15:37) 

ミセスサニー

ニホンスイセンの名前は、何かと紛らわしいですね。
いかにも種ができそうな作りを興味深く見せていただきました。
倒れてしまったら本当に台無しで、あとの葉のだらしなさとともに悩ましいです。今年はこちらでも雪の被害にあいました。

お正月飾りの工夫、楽しいですね。
by ミセスサニー (2014-02-27 21:24) 

夕菅

ミセスサニーさん コメントありがとうございました。
ほんとうに!ニホンというのにchinensisとはこれ如何に? ですね!
こぼれるほどの花粉とびっしり詰まった胚珠を見ると、種子ができないのが不思議に思えました。
花後の葉は処分したくなりますが、そこをじっと我慢しないと翌年の花が咲きませんね。私は紐でゆわえています。
by 夕菅 (2014-02-27 22:59) 

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