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ヒメフウロの果実  [草花(初夏)]

ヒメフウロの果実
 
ヒメフウロの花についは2014.5.25.の記事にしました。
その後、朝日百科「世界の植物」3-165の「蒴果は、成熟後に花柱嘴(かちゅうし)の裂片が1つづつはずれて、糸でぶら下がるという変わり者である」という記述を自分の眼で確認したくなりました。
毎日見に行きましたが糸でぶら下がった種子を見ることは出来ませんでした。
それは自生種だけの特徴でうちの帰化種にはみられないのでしょうか。
風雨を避けて室内で観察することにしました。

朝、果実がついた小枝を摘み、水を入れた器に挿し机の上に置きました。
午後3時、Aは萼が開いて種子が見えていました。
ところがBは4個の種子は既に飛び散ったらしく1個だけ残っていました。
( 画像は全て画面をクリックすると大きくなります。)
ヒメフウロ0528wb1.jpg

4個の種子はどこへ行ったのか、机の上には何もありません。
床はゴミが目立ちにくいベージュ系混色カーペット、何とか探し回って窓際まで飛んだ種子を2つ見つけました。はじき飛ばされたのでしょう。
このとき近くに釣り針のようなものも落ちていました。
これが花柱の裂片ではないでしょうか。
種子は長さ約3mm、表面に葉脈を浮き彫りにしたような模様があります。
ヒメフウロ種子回収3wb.jpg

翌朝はさらにC・Dの萼も開き、4つの果実に種子が合計16個見えました。
この日は和室の座卓にシーツを敷き、その上にヒメフウロを置きました。
下は畳ですから落ちた種子を探し易いはずです。
ヒメフウロ05290820wb1.jpg

夕方見に行くと何とA・C・Dの果実はもう種子を飛ばした後でした。
但し、Aには種子が1個残っていましたから14個の種子が飛び散ったはずです。
の所に釣り針のようなものが1個落ちています。
ヒメフウロ05291732wb2.jpg

水の中に朝はなかった棒状の小片が2つ浮いていました。長さ約1cm。
ヒメフウロ花柱嘴裂片1wb.jpg

取り出して昨日拾った裂片と並べて、左側に置きました。
すると見る見る弧状に曲がっていきます。
ヒメフウロ花柱嘴裂片2wb.jpg

左右2個づつ同じ半円状になってしまいました。
これはまさしく花柱の裂片で、種子が熟すと乾燥して弓形に弯曲し、その勢いで種子をはじき飛ばす装置と考えられました。形状記憶合金のようですね。
ヒメフウロ花柱嘴裂片3wb.jpg

拾い集め得た裂片15個と種子12個を並べました。
ABCD4つの果実から各々5つずつ、合計20個ずつ飛び散ったはずです。
裂片は1m前後の位置に落下しやすく、種子は2〜3m先まで飛んでいました。
予想を超える飛距離でした。
ヒメフウロ種子回収全wb2.jpg

糸は細くてもとても丈夫で、引っ張っても外れません。
ヒメフウロ種子糸1wb.jpg

その後は種子よりこの裂片を求めて庭のヒメフウロを観察しました。
すると、あったのです!
ゲンノショウコの御神輿のような華やかなものではなく、飛び損ねて残ってしまったのではないかと思われる裂片がひとつ、イヤリングのように金色に輝いて見えました。
ヒメフウロ裂片1wb.jpg

これは絡んで飛べなかった種子と裂片のペアーです。
ヒメフウロ糸付き4wb.jpg

翌日隣の果実も開いてにぎやかになっていました。
裂片が飛んだあとの花柱(左)と飛ぶ前の太い花柱(右)が比較できます。
萼がこんなに若々しい状態でも中の種子はすでに熟していることに驚きました。
ヒメフウロ種子前後wb.jpg

壁に接した小枝の一部がきらりと光ったようです(黒い矢印)。
ヒメフウロ2裂片全wb.jpg

ありました! ペアーです。
裂片2個が左右にぶら下がり、種子が天辺からぶら下がっています。
糸が花柱に絡み付き飛べなかったのでしょう。
ヒメフウロ2裂片2wb.jpg

改めてヒメフウロの花柱を観察してみました。
花柱の下3分の2は子房がふくらむにつれ太くなります。
萼が開くと5個の種子が花柱のまわりに並んでいます。
ヒメフウロ花柱嘴1wb.jpg

熟した果実を見ると花柱は約1cmの金色の鎧のような裂片5枚に取り巻かれていました。
ヒメフウロ花柱2wb.jpg

種子には裂片から左右に2本の白い糸が降りています。
この仕組によって果実が熟して乾燥すると、種子がはじけ飛ぶのです。
ゲンノショウコでは種子に裂片と繋がる袋があり、裂片の上部は花柱に固着しています。
しかし、ヒメフウロの種子には袋は無く裂片も固着せず、吹っ飛んでしまいます。
一度目の前の種子が瞬時に消えたことがあり、裂開と飛散は一瞬に終わることを知りました。
ヒメフウロ花柱糸1wb.jpg

ヒメフウロの種子について検索しても資料が乏しかったので、この庭の帰化種のヒメフウロについて少々観察してみました。
やはり、花柱の裂片が飛び散る勢いで種子を遠くへ飛ばす仕組みでした。
蒴果は複数の心皮からなり成熟すると果皮が裂開して種子を出す果実です。
この庭のヒメフウロは5心皮からなり、5個の種子は花柱の裂片が弾けた勢いで2〜3m飛ぶことを確認しました。
しかし種子がぶら下がる像は種子についた糸が絡んで飛べなかった場合にのみ例外的に散見されました。
伊吹山などに自生するヒメフウロではどうか、興味が湧きます。

コメント(20) 

コメント 20

多摩NTの住人

ヒメフウロはよく見掛ける野草です。
詳しいご説明でたいへん勉強になりました。
有り難うございました。
by 多摩NTの住人 (2014-06-09 08:01) 

夕菅

多摩NTの住人 さん コメントありがとうございました。
いつもややこしい長文をお読みいただいて恐縮です。
貴ブログのパート1まで遡って「ゲンノショウコ・4〜神輿」を見せて頂きました。紹介させていただいていいでしょうか?
http://blog.goo.ne.jp/botanicallife-1956/e/a193821ab38268fd8c6fd9a6c4638c61

「アメリカフウロ・3~実」も同じような姿ですね。
ヒメフウロは袋がなくて神輿にならないのです。

by 夕菅 (2014-06-09 12:54) 

とんちゃん

夕菅さん、変わり者の正体見たのですね!!!
私もとっても見たかったです  すっきりしました
すわっ! 事件の捜査員になって極小のものも見逃さずっていう心理状態だったですか~
棒状だったのに見る見る曲がってきましたね~
この裂片は確かに形状を記憶しているみたい♪  可愛く思いました。
自らの力で遠くまで飛ばすのですね
種についている細い糸はそんなに丈夫なのですか!
糸でぶら下がった種子が見られるのはたまたまということでしたね
ヒメフウロは神輿になれない  比較の多摩さんのゲンノショウコも見せていただきました。



by とんちゃん (2014-06-09 14:40) 

エフ・エム

すばらしい観察ですね。こんなたくみな方法で種子を広げているとは。

種子を散布させる方法は植物によってそれぞれ違うところがおもしろいです。タンポポのように、広い範囲に種子を飛ばすのではなく、ヒメフウロやゲンノショウコは種子を2、3メートル飛ばして着実に、少しずつ自分たちの地所を広げて行く。好みの場所をきちんと確保するのは、子孫繁栄のため、確実な方法かもしれません。
by エフ・エム (2014-06-09 17:58) 

夕菅

とんちゃん コメントありがとうございました。
また小さな疑問の虜になっていました(笑)。
拡大鏡をもって床の上を這い回る姿を外から見たら滑稽だったでしょうね。
棒状から弓状になった裂片を水に浸けるとまた棒状になりました。
細い糸で裂片にぶら下がった種子は何度も動かしたのにまだそのままで外れません。
まだヒメフウロは各地で咲いていると思いますから雌しべや裂片に注目しながらご覧になって下さい。
by 夕菅 (2014-06-09 21:28) 

夕菅

エフ・エム さんコメントありがとうございました。
また小学生のままごとのようなことをしておりました。
種子は小さな装置ですのに意外に遠くへ飛ぶのですね。
来年どこに新たに生えるかまた楽しみです。
本当に知れば知るほど、植物の世界は面白いですね。
by 夕菅 (2014-06-09 22:16) 

703

こんな小さな種子をよく観察され、ため息出そうですよ(笑)
はじけて遠くに飛ばせる仕組みには驚かされましたが、
確かにえっと思う場所から発芽しています。
初年度は葉だけのようですね。(多分)
植えて2年目なので、よく分かってはいないのですが。

前回の記事を見た後、庭で写真を写しています。
夕菅さんはどんな写真が必要なのか、
もう一度ブログを読みこんでと思っているうちに、
日が経っていました。メールに写真を送っています。
それが該当するのかしないのか、ご教示ください。
まだ探せますから。
by 703 (2014-06-09 22:47) 

とんとん

ヒメフウロが庭にあったころ、花が終わるととがった状態になるのは分かっていましたが、種が飛ぶことや糸については全く無頓着で何も分かっていませんでした。
詳細な観察、お見事です。
糸が尻尾のようになって、からんでしまうのが難点でしょうか。
それとも、その場に踏みとどまれる作戦なのでしょうか。
根をおろして動けない植物の様々な仕組みには感心させられます。

夕菅さんのジャーマンアイリスの記事にリンクをさせていただきました。
by とんとん (2014-06-09 23:08) 

夕菅

703さん コメントありがとうございました。
しゃがみ込んで写真を撮るのはきついので、コンデジと小さいイスを持って行きました。でも日陰なのでなかなかきれいに撮れません。
画像も拝受しました。ご協力に感謝します!!!
2枚目の画像は私が求めていた裂片が複数下がっている状態のようです。淡路のヒメフウロにはこういう姿が多いのでしょうか?
もし、可能ならもう一度探していただけたらありがたいのですが......。
by 夕菅 (2014-06-09 23:25) 

夕菅

とんとん さん コメントありがとうございました。
帰化して殖え過ぎると言われるヒメフウロですが、この辺りでは見たことがなく、いただいて嬉しくて眺めているうちにかく相成りました。
フウロソウ属には果実がゲンノショウコのように神輿型になるものとならないものがあるようですね。
ふつうは5組の裂片と種子が一気に飛び散ってしまうのですが、隣接のものに引っ掛かったりして飛べなかったものだけが残っているようです。

ジャーマンアイリス、先程見せて頂いたばかりです。
もう今年咲いたのですね。よかった!
by 夕菅 (2014-06-10 00:03) 

ミセスサニー

シーツを敷いての観察、恐れ入りました!楽しそうですね。
梅雨の合間に私も時々気をつけて観察したいと思います。

by ミセスサニー (2014-06-10 21:13) 

夕菅

ミセスサニーさん コメントありがとうございました。
シーツは座卓の色と種子の色が似ているので見易くするためと、シーツの上に軟着陸するためでしたが、飛距離は1畳大の座卓を越えました。
果実の観察、お楽しみ下さい。
by 夕菅 (2014-06-10 22:53) 

多摩NTの住人

たびたび失礼します。
パート1まで遡って頂き有り難うございました。
by 多摩NTの住人 (2014-06-11 07:58) 

夕菅

多摩NTの住人 さん
ゲンノショウコの神輿像を添付したくもストックがなく、比較のためにとリンクをお願いするのも失礼かとあきらめていました。
ひょっと?と検索するとパート1に発見、事後承諾で追記させていただきました。こちらこそ、ありがとうございました。
by 夕菅 (2014-06-11 17:40) 

りんちゃんママ

ヒメフウロの観察とても面白く植物が子孫を残す為すごい機能を持ち繁殖していくのですね。観察の大変さがとても伝わります。次から次と探究心が湧いてきます。庭の花を今までとちがった気持ちで観察しています。
by りんちゃんママ (2014-06-11 23:15) 

panda

夕菅さん、おはようございます。
「蒴果は、成熟後に花柱嘴(かちゅうし)の裂片が1つづつはずれて、糸でぶら下がるという変わり者である」というのがわかりました。ぱっと見てゲンノショウコと同じかな?と思っていたので、興味津々で読ませていただきました。確かに私が写した外来のヒメフウロも神輿形になっていません。花柱の裂片がはじけた勢いで飛ぶのは同じでも、それが白い糸でつながっていたのですね。この白い糸は羽のようでもあり、より遠くまで運ばれていきそうな気がします。おもしろいものをありがとうございました。
by panda (2014-06-12 07:46) 

夕菅

りんちゃんママ さん コメントありがとうございました。
本当はヒメフウロとゲンノショウコを並べてアップするともっと楽しかったのですが、この辺りにはゲンノショウコを見ませんね。
初心者の植物観察は知らなかったことが多いから感動があります。
りんちゃんママさん もまずはお庭の花々を楽しんで下さいね。
by 夕菅 (2014-06-12 08:29) 

夕菅

panda さん コメントありがとうございました。
庭のヒメフウロが神輿型にならないことはわかりましたが、自生のヒメフウロも同じでしょうか?もし機会があったら見ていただきたく思います。
今の疑問は受粉の時期です。柱頭は花粉が落ちてからくるりと卷きます。その後受粉するのか、葯全開の雄しべに囲まれている中で自花受粉するのか、決められないままです。

by 夕菅 (2014-06-12 08:29) 

panda

夕菅さんのヒメフウロの花を見てみました。私が見ているヒメフウロとはまた違うみたいです。BBSに写真をアップしましたので見てくださいね。
http://yukidori.bbs.fc2.com/ 
(もしかしたら、下のほうに下がっているかもしれないので、スクロールしてください。)
夕菅さんの庭のヒメフウロだと、いつ自家受粉をするのか私もわかりません。 r(^^;
by panda (2014-06-12 20:33) 

夕菅

panda さん お忙しいのにあっちこっち探していただいてありがとうございました。
BBSにお伺いして何とか返信を書いたところです。
ひょっとしてヒメフウロは地域によって微妙に異なるのかもしれませんね。
私は在来種と外来種をどう区別するのかという単純な疑問だったのですが、むつかしいことになってきました。
by 夕菅 (2014-06-12 23:30) 

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