アケビコノハの蛹と成虫 [昆虫]
アケビコノハの成虫
通草木葉蛾 チョウ目ヤガ科の昆虫
学名: Eudocima tyrannus
開帳:9〜10cm
9月の記事にしたアケビコノハの幼虫は10月初旬には見えなくなりました。
どこかで蛹になっているはずと思って見ると、アケビの葉が枯葉と絡まっているような所がありました。
何気なく触れると葉の塊がバタバターっと暴れてびっくり仰天。
多分アケビコノハが前蛹の状態で入っているのでしょう。
その目で見ると怪しい箇所がいくつか見つかりました。そっと触れても動かない。
成虫を一目見たくて蛹を小枝ごと切って羽化を観察することにしました。

こちらは、隙間から覗くと大きな目玉模様!
まだ繭未完成の生々しい前蛹でした!

こちらは枯葉を横に巻いています。

縦二つ折り。枯葉の方に繭がありそうです。

隣にあるツタの葉のおくるみ。
手に乗せれば葉1枚とは思えぬ重さを感じます。

採取した葉を1枚の紙の上に集めてステンドグラスのハウスを被せました。
これは6年前ルリタテハの幼虫の飼育に用いたものです。
今後はもう何も食べないからただ羽化を待つのみ。
10月16日、成虫1頭目を発見。このハウスの右上の黒い影です!
後のガラスの汚れは羽化後に成虫が排泄した液。

本当に1枚の枯葉のよう、見事な擬態です。
このままじっと動きません(下が頭部)。

空になった蛹を探し出しました。
葉の隙間をこじ開けると、強い繊維に包まれた黒褐色の蛹の殻が出てきました。
自ら糸を吐き出して繭を作っていたのです。

その後羽化した蛹。
この個体では繊維が少なく蛹がきれいに取り出せました。
しかし尾部は葉にしっかり固定されていて外せません。

こちらはツタの葉を左右からくるりと巻いて固定しただけ。
蛹は頭部がポコッと開いて出たようです。
どれも尾部は葉に固く結ばれています。

このハウスから1週間に5頭のアケビコノハが羽化しました。
羽化は全て夜間に行われ、翌朝、静止した成虫を見ることになりました。
この個体の場合は夕食前には何事もなかったのに、日付が変わった頃にはすでに羽化完了。
ストロボに照らされて目が赤く光っています。

夜行性のためか、翌日は昼になっても自ら羽ばたくこともなく、じっとしています。
このアケビコノハは1組の脚でぶら下がっているようです。
ひょっとして脚が隙間に入って死んでしまったのでしょうか?

脚を外して救出しようとして翅に触れるとぽとりと落ちました。
触覚も収められ、木の葉のごとく動きません。やはり死んでしまったのでしょうか?

追記:
下顎部に突き出しているのは下唇鬚(かしんしゅ)またはパルピと呼ばれ、口吻を保護する器官です。これで果実などに差し込んで吸汁する口吻を守っているのでしょう。
パルピはテングチョウにもありました。

ところが、紙ですくって外へ出そうとしたその瞬間、ぱっとオレンジ色が見えました。
一気に起き上がって、居間のガラス戸の最上部まで飛んで行ってしまったのです。
木の葉のように見せる擬態は死んだふり(擬死)もあったのですね。
そのあと羽化した個体で試しましたが、死んだふりをしたのは合わせて2頭、残り3頭は触れるとバタバタと暴れました。

ハウスの出口がわかると光を感知するのか、ガラス戸に直進しでバタバタと翅を開閉させますが、すぐに木の葉になって動かなくなります。
辛うじて撮れた半開帳の姿。
前翅には緑色の葉脈模様が浮き出ています。
後翅の鮮やかなオレンジ色がのぞき、ここにも黒い目玉模様がありました。

1頭はわずかに開いているガラス戸の隙間からまっしぐらに飛び立ってしまいました。
幸いにも低い位置に静止してくれた個体だけはカメラに収まりました。
翅の色には個体差があります。
これは最も濃い例で黒紫。前翅長 約5cm。

この個体の前翅はやや明るい灰褐色、頭部は褐色。

脚の腿節や触覚の基部に小白点が見えます。

真上から見ると意外にスリム。

裏翅が見えるのは飛翔のほんの一瞬。
ステンドガラス越しでボケボケですが、翅の裏側は全てオレンジ色で大胆な黒色模様がありました。
これはハウスから出ようと羽ばたいたところです。

普通は見えない腹側が撮れました。
頭部中央はパルピで、下部の裂け目から口吻が出るそうです。
「早くここから出して」と恨めしそうに見えます。

「はい、どうぞ」。
ハウスを出て飛翔、高く飛んで欄間の方で羽ばたいたとき、偶然、ガラスが鏡のようになって鏡像が撮れました。

しかし、ほとんどの写真はこのようにピンボケ。
オレンジ色がかろうじて写るのみでした。

ガラス戸の隙間を見つけて、あっけなく空に消えました。
アケビコノハは桃などの果実に被害をもたらす害虫ですが、このあたりには果樹園はなく、この庭のアケビについたのも初めてでしたからそのまま放ちました。

アケビコノハの幼虫を見つけてから成虫を見送るまで、約1ヶ月間のお付き合いでした。
いろんな姿を見せてくれてありがとう!
きれいな写真が撮れなくて残念ですが、おおよそわかったつもりでさようなら。
通草木葉蛾 チョウ目ヤガ科の昆虫
学名: Eudocima tyrannus
開帳:9〜10cm
9月の記事にしたアケビコノハの幼虫は10月初旬には見えなくなりました。
どこかで蛹になっているはずと思って見ると、アケビの葉が枯葉と絡まっているような所がありました。
何気なく触れると葉の塊がバタバターっと暴れてびっくり仰天。
多分アケビコノハが前蛹の状態で入っているのでしょう。
その目で見ると怪しい箇所がいくつか見つかりました。そっと触れても動かない。
成虫を一目見たくて蛹を小枝ごと切って羽化を観察することにしました。

こちらは、隙間から覗くと大きな目玉模様!
まだ繭未完成の生々しい前蛹でした!

こちらは枯葉を横に巻いています。

縦二つ折り。枯葉の方に繭がありそうです。

隣にあるツタの葉のおくるみ。
手に乗せれば葉1枚とは思えぬ重さを感じます。

採取した葉を1枚の紙の上に集めてステンドグラスのハウスを被せました。
これは6年前ルリタテハの幼虫の飼育に用いたものです。
今後はもう何も食べないからただ羽化を待つのみ。
10月16日、成虫1頭目を発見。このハウスの右上の黒い影です!
後のガラスの汚れは羽化後に成虫が排泄した液。

本当に1枚の枯葉のよう、見事な擬態です。
このままじっと動きません(下が頭部)。

空になった蛹を探し出しました。
葉の隙間をこじ開けると、強い繊維に包まれた黒褐色の蛹の殻が出てきました。
自ら糸を吐き出して繭を作っていたのです。

その後羽化した蛹。
この個体では繊維が少なく蛹がきれいに取り出せました。
しかし尾部は葉にしっかり固定されていて外せません。

こちらはツタの葉を左右からくるりと巻いて固定しただけ。
蛹は頭部がポコッと開いて出たようです。
どれも尾部は葉に固く結ばれています。

このハウスから1週間に5頭のアケビコノハが羽化しました。
羽化は全て夜間に行われ、翌朝、静止した成虫を見ることになりました。
この個体の場合は夕食前には何事もなかったのに、日付が変わった頃にはすでに羽化完了。
ストロボに照らされて目が赤く光っています。

夜行性のためか、翌日は昼になっても自ら羽ばたくこともなく、じっとしています。
このアケビコノハは1組の脚でぶら下がっているようです。
ひょっとして脚が隙間に入って死んでしまったのでしょうか?

脚を外して救出しようとして翅に触れるとぽとりと落ちました。
触覚も収められ、木の葉のごとく動きません。やはり死んでしまったのでしょうか?

追記:
下顎部に突き出しているのは下唇鬚(かしんしゅ)またはパルピと呼ばれ、口吻を保護する器官です。これで果実などに差し込んで吸汁する口吻を守っているのでしょう。
パルピはテングチョウにもありました。

ところが、紙ですくって外へ出そうとしたその瞬間、ぱっとオレンジ色が見えました。
一気に起き上がって、居間のガラス戸の最上部まで飛んで行ってしまったのです。
木の葉のように見せる擬態は死んだふり(擬死)もあったのですね。
そのあと羽化した個体で試しましたが、死んだふりをしたのは合わせて2頭、残り3頭は触れるとバタバタと暴れました。

ハウスの出口がわかると光を感知するのか、ガラス戸に直進しでバタバタと翅を開閉させますが、すぐに木の葉になって動かなくなります。
辛うじて撮れた半開帳の姿。
前翅には緑色の葉脈模様が浮き出ています。
後翅の鮮やかなオレンジ色がのぞき、ここにも黒い目玉模様がありました。

1頭はわずかに開いているガラス戸の隙間からまっしぐらに飛び立ってしまいました。
幸いにも低い位置に静止してくれた個体だけはカメラに収まりました。
翅の色には個体差があります。
これは最も濃い例で黒紫。前翅長 約5cm。

この個体の前翅はやや明るい灰褐色、頭部は褐色。

脚の腿節や触覚の基部に小白点が見えます。

真上から見ると意外にスリム。

裏翅が見えるのは飛翔のほんの一瞬。
ステンドガラス越しでボケボケですが、翅の裏側は全てオレンジ色で大胆な黒色模様がありました。
これはハウスから出ようと羽ばたいたところです。

普通は見えない腹側が撮れました。
頭部中央はパルピで、下部の裂け目から口吻が出るそうです。
「早くここから出して」と恨めしそうに見えます。

「はい、どうぞ」。
ハウスを出て飛翔、高く飛んで欄間の方で羽ばたいたとき、偶然、ガラスが鏡のようになって鏡像が撮れました。

しかし、ほとんどの写真はこのようにピンボケ。
オレンジ色がかろうじて写るのみでした。

ガラス戸の隙間を見つけて、あっけなく空に消えました。
アケビコノハは桃などの果実に被害をもたらす害虫ですが、このあたりには果樹園はなく、この庭のアケビについたのも初めてでしたからそのまま放ちました。

アケビコノハの幼虫を見つけてから成虫を見送るまで、約1ヶ月間のお付き合いでした。
いろんな姿を見せてくれてありがとう!
きれいな写真が撮れなくて残念ですが、おおよそわかったつもりでさようなら。
2015-11-01 22:07
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