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オオチョウジガマズミ ? [花木(春)]

オオチョウジガマズミ 
    大丁字ガマズミ
  レンプクソウ科( ←スイカズラ科)ガマズミ属の落葉低木
  学名:Viburnum carlesii var. carlesii
  花期:4月
  分布:長崎県の対馬・済州島・朝鮮半島南部
     絶滅危惧ⅠB類 (EN) 

今年はオオチョウジガマズミに蕾がたくさん出来ました。
この花は2009年4月にも少し登場しましたが、もう一度取り組みたく思っていました。
ところが調べてみると、日本での分布は対馬のみに限られた絶滅危惧種であり、数種の交雑種が販売されていることもわかり、これが真のオオチョウジガマズミかどうかと悩みました。
16年前苗を購入した地元の園芸店は既に閉店し、尋ねることもできません。
悩んだ末、お教えを期待して(?)をつけての再登場とさせていただきました。
どうぞよろしくお願い申しあげます。

3月29日、赤い蕾が揃いました。
20160329-2wb.jpg

3日後には開花し始めました。
20140401-3wb.jpg

その経過を接写で見ていきます。
3月25日、赤褐色の蕾を発見。
20160325-1wb.jpg

蕾は次第に桃赤色になり花筒が伸びます。
オオチョウジガマズミ2013蕾wb.jpg

開花直前。花筒は白く花冠はピンクに染まりました。
20140403-3wb.jpg

「げんこつ」を突き出したような蕾。
オオチョウジガマズミ09蕾wb.jpg

一番美しい頃です。
オオチョウジガマズミ0704wb.jpg

花冠の裏はピンク、表は白色。
花が咲くと辺りに芳香が漂います。
オオチョウジガマズミ2012-2wb.jpg

ぽったりした厚い花冠は5裂。
20140403-5.wb.jpg

雄しべは花筒から飛び出さず、雌しべはさらに奥にあるようです。
花筒を開いて見なかったことが悔やまれます。
20140403-6wb2.jpg

背面。名の如く丁の字に開いていることがよくわかります。
20140403-7wb.jpg

開花しきると白い花に見えます。
オオチョウジガマズミ2014-3wb3.jpg

4月3日、すでに花は殆ど白くなってしまいました。
20140403-8wb2.jpg

枝は上に伸びるよりゆるく垂れ下がります。
20140403-8wb.jpg

柔らかい毛に覆われた対生の葉も美しい。
今一番大きい葉は9 X 7.5cm。
オオチョウジガマズミ葉0430-2wb.jpg

オチョウジガマズミの葉はチョウジガマズミの葉に比べて円くて大きいそうです。
この葉は標準的な大きさで(6 X 6cm)で類円形。
星状毛が葉の表にも裏にも密生するため葉はしろっぽく見えます。
オオチョウジガマズミ葉円wb.jpg

未だに樹高は1.2mくらい(左上はマルバノキの葉)。
オオチョウジガマズミ葉0430-1wb.jpg

今年の花もあっさり終わりました。
赤い実がなるそうですがまだ一つも見たことがありません。

オオチョウジガマズミはチョウジガマズミの基本種と言われます。
チョウジガマズミ(Viburnum carlesii var. bitchiuense)は中国地方、四国の香川県・愛媛県、九州の福岡県・朝鮮半島に分布し、葉にも違いがあるようです。
またオオチョウジガマズミには交雑種も数種あり、販売もされていますから要注意です。

この花についてご教示いただけましたら幸いです。
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シュンランの種子  [草花(春)]

シュンランの種子
前の記事「シュンランの花粉塊」の続きです。

昆虫に花粉を運んでもらう花の多くはその報酬に蜜を与えます。
しかし「シュンランの花は蜜を出さない」そうです。
そういえばシュンランには香りもありません。
それでは受粉はどのように行われるのでしょう。
昆虫(多くはハナバチ)は蜜を求めて飛んできて先ず唇弁に止まります。
シュンラン花粉塊斜め1wb.jpg

唇弁を前に倒してみると、内側には2列の大きな襞がありました。
いかにも蜜がありそうですが、底まで行っても蜜はありません。
念のためシュンラン5花について唇弁の溝を舐めてみましたが甘みは感じられませんでした。
シュンラン唇弁襞奥wbL.jpg

この花の花粉塊を見てみます。
葯帽をそっと除けると黄色い花粉塊が2組現れました。
シュンラン花粉塊粘着体3wb.jpg

爪楊枝でつつくと花粉塊がついてきました。
注目すべきは花粉塊についている強力な粘着体(粘着盤)です。
これでこの隙間に入り込む昆虫の背に張り付き他花へ運ばれます。
この時、花粉塊は「初めは葯帽を被っているが、やがて外れて次に訪れた花の蕊柱のくぼみに渡される」そうです(#1)。
シュンラン花粉塊粘着体wb.jpg

これは葯帽と花粉塊を取り除いた蕊柱(ずいちゅう)です。
「蕊柱のくぼみ」とは中央の帯緑色の部分で、ここが柱頭です。
艶やかで粘液が分泌されているように見えます。
ここも爪楊枝の頭の方で擦ってなめましたが甘くはありませんでした。
シュンラン蜜1wb.jpg

シュンランの花粉塊」の2枚目の写真を撮る時、手前に黒褐色の果実が1個あることに気付きました。
シュンラン2016果実wb.jpg

これは2012年1月28日撮ったシュンランの緑色の実です。
4月に咲いた花が結実したものですが、未だに完熟していません。
シュンラン果実wb.jpg

2013.3.31.撮影の花と実。
シュンランの実は花に比べてずいぶん大きく、翌年花が咲く頃やっと熟すのです。
受粉後、花茎は再び伸び出して大きな蒴果を作ります。
シュンラン果実1wb.jpg

2013.4.14. 蒴果残存。
残念ながらこの年は中の種子を確認していません。
シュンラン鞘wb.jpg

今年は1個だけ見つけた蒴果を採取し指で開いてみました。
シュンラン種子1wb.jpg

下の方に白い細かい繊維のようなものがありました。これが種子です。
大部分はすでに飛び散り、下の方にだけ残っています。
雨の後に採取したため種子もまだ湿っていました。
シュンラン種子2@.jpg

翌日乾いた種子を観察しました。
上に散らした埃のようなものが種子。
シュンラン種子2wb.jpg

全部詰まっていたら何十万個もありそうです。
シュンラン種子多wb.jpg

種子は長さ種子は長さ1mmほど、大きいものでも1.5mm未満です。
吹けば飛んでしまいますが、本当にこれで種子でしょうか?
シュンラン種子6wb.jpg

種子を顕微鏡で確認してみました。
中央部の黒い塊が胚のようです。
ランの種子は共生する菌から栄養を受けて発芽するため、胚乳がありません。
そのため種子は小さく軽く、翼や毛がなくても遠くまで風に運んでもらえるのです。
シュンラン顕微鏡1wb2.jpg

「虫媒花植物の多くは、蜜や花粉などを昆虫に提供して誘引しているのだが、ランの場合、半分くらいの種が蜜を提供せず、擬態など様々な方法で昆虫を誘っている」そうです(#2)。
シュンランは香りも蜜も出さず、花粉も与えず、昆虫に大きな花粉塊を運ばせることがわかりました。
受粉が成功すると、吹けば飛ぶような軽い種子がたくさんできます。
但し種子ができるのに1年、その種子が花を咲かせるためにはさらに数年かかるようです。

今年はシュンランの花がたくさん咲きました。来年蒴果がいくつできるか楽しみです。

文献
(#1)田中 肇. 2009. 昆虫の集まる花ハンドブック. 総合出版
(#2)井上 健. 1997. 朝日百科 植物の世界 9-223. 朝日新聞社
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シュンランの花粉塊  [草花(春)]

シュンラン
 春蘭
 単子葉植物キジカクシ目ラン科シュンラン属の地生蘭
 学名: Cymbidium goeringii 
 別名:ジジババ・ホクロ
 花期:3〜4月
 分布:日本・済州島・台湾・中国・インド西北部

庭のシュンランは周囲のアイビーに負けそうになりながらも毎年花数を増しています。
シュンラン2016-1wb.jpg

花はうつむいて咲くので今年は特に顔も見られません。
葉は常緑、革質で20〜40cmあります。
シュンラン2016-2wb.jpg

しからばいっそと、切り取って観察することにしました。
シュンランの花粉塊も見たいものです。
シュンラン2016-4wb.jpg

手にとってまず気づいたのは花茎を取り巻く膜の美しさ。
鞘状苞というそうですが、白っぽい絹のような感触で細い紅い筋が目立ちます。
シュンラン2016-12wb.jpg

花は直径約5cm、3枚の萼片、2枚の側花弁、中央のずい柱(蕊柱)と紅白の唇弁から成ります。
シュンラン花粉塊11wb.jpg

ずい柱は雄しべと雌しべが合体したものです。
唇弁は分厚く、昆虫を引きつけるよう白地に紅紫色の斑点が目立ちます。
別名のジジババやホクロはこの斑点を老人のしみやほくろにたとえているとか。
シュンラン花粉塊12wb.jpg

ずい柱がよく見えるよう上の花被片を除きました。
ずい柱の上端は前に突き出し、先端に帽子(葯帽)をかぶっています。
シュンラン花粉塊13wb.jpg

葯帽はわずかな刺激で脱落します。これはたまたま引っかかった例外です。
中にあったのは黄色い花粉塊。                
シュンラン花粉塊14wb.jpg

葯帽を外すと、一対の花粉塊が露出しました。
シュンラン花粉塊15wb.jpg

裏側はやや膨らんで黄色い貝のような形、白い粘着物質が付いています。
下は葯帽。
シュンラン花粉塊3wb.jpg

表側を見ると大小2枚の花粉塊が重なっていました。
シュンラン花粉塊4wb2.jpg

もう少し拡大したいとFabre Photoで見ましたが、写真がきれいに撮れません。
シュンラン花粉塊8wb2.jpg

一対の花粉塊はそれぞれ大小2枚の黄色い貝殻のような形をしていて、計4枚。
硬くて触れても崩れません。
一対のまま昆虫に遠くへ運ばれることもあるようです。
シュンラン花粉塊7wb.jpg

幼い頃から春の風物詩として見ていたシュンランもよくよく見れば興味深々です。
次回は種子のことなどもう少し観察しようと思います。

追加:シランの花粉塊 については2012.5.30.シランの記事にしました。
http://yuusugenoniwa.blog.so-net.ne.jp/2012-05-30
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