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ノリウツギ2種 [花木(夏)]

ノリウツギ
 糊空木 アジサイ科アジサイ属の落葉低木
 学名:Hydrangea paniculata
 別名:サビタ・ノリノキ
 分布:北海道、本州、四国、九州
 花期:6〜8月
 高さ:2〜5m
ノリウツギは円錐花序と粘着性のある樹液を特徴とするアジサイ属の低木です。
この庭には2種のノリウツギの園芸種が咲きます。

ダルマノリウツギ
達磨糊空木
15年前に植えた1株がこんな大株になりました。
はじめ「達磨乗り空木」かとも思いましたが、糊空木の矮性種でした。
さらに調べるとノリウツギの中でも早咲きのエゾノリウツギの変異種のようで、苗は園芸店で販売されています。
ダルマノリウツギ2014wb.jpg

ガクアジサイのように周辺に装飾花、中央に両性花が開きます。
高さは約1m。剪定もほとんど要らず、庭には重宝な花木です。
ダルマノリウツギ2009wb.jpg

円錐花序。
装飾花は白い萼片4枚が花弁のように開きます。直径約3cm。
ダルマノリウツギ11-14wb.jpg

この花はハナムグリの大好物らしく、咲くや否やどこからともなく集まってきます。
アオハナムグリは緑色に光って美しい。
ダルマノリウツギ2012ハナムグリwb.jpg

貪食中の大きなアオハナムグリ。
ダルマノリウツギ11-2wb.jpg

両性花は花弁5枚、雄しべ10本、雌しべは3本が多いようです。直径約1cm。
装飾花の蕾は開きません。
ダルマノリウツギ2wb.jpg

両性花が散る頃、装飾花はピンク色を帯びます。
ダルマノリウツギ紅変wb.jpg

さらに装飾花は下垂して俯きます。
ダルマノリウツギ紅化1wb.jpg

びっしりと集簇する若い果実。
概ね3個づつ、柱頭の跡が残っています。
ダルマノリウツギ若い実wb.jpg

昨年9月23日の画像。
蒴果はすでに開いていますが、装飾花の萼はまだ残っています。
ダルマノリウツギ果実0923-1@2.jpg

そのまま放置したら雪の日のアクセサリーに。
ダルマノリウツギ枯花2014-2wb2.jpg

ピラミッドアジサイ
 学名:Hydrangea paniculata f. grandiflora
 花期:7〜8月
もう一種類は殆どが装飾花で両性花が無い、もしくは非常に少ない園芸種です。
水無月(旧暦)に咲くので「ミナヅキ」とも呼ばれます。
ノリウツギ2014wb.jpg

高さは2〜3mになりますが枝は直立しにくくしな垂れて、花は1〜1.5mの高さで咲きます。
葉は対生または3輪生。
ピラミッド2014wb2.jpg

クリーム色を帯びた白色の花が先の方へと咲き進みます。
ピラミッド2014-1wb.jpg

量感たっぷりの見頃の花。
この他、花の色がライムグリーンの「ライムライト」という品種も普及しています。
ピラミッド08-2wb.jpg

さて、やはり「糊空木」たる証拠を確認したくなります。
まず、ダルマノリウツギ(右)とピラミッドアジサイ(左)の枝を切り断面を見ました。
共に中心部は白く、発泡スチロールのように崩れます。これが空木の所以でしょう。
ピラミッド断面wb.jpg

次に糊の成分はどこにあるのでしょう。
ピラミッドアジサイの若い枝を切って茶色の樹皮(1段目)を剥ぐと、2段目の美しい緑色の靭皮(じんぴ)が現れます。
3段目は薄く剥いだ靭皮、この内側はネバネバします。
靭皮を剥いだあとは4段目のように白っぽくなりました。
ピラミッド樹皮2wb2.jpg

今度は出来るだけ1枚になるように樹皮(左)と靭皮(中)を剥ぎました。
やはり靭皮に粘液があるらしく、指で軽く押すと指に着いて持ち上がりました。
そこで同じように靭皮を数枚剥いで水を加えて放置したところ、とろりとした粘液が得られました。
これは2010年サネカズラで試したことを参考にしたのです。
ピラミッド樹皮2wb3.jpg

手作り和紙の作り方をブログ検索すると、コウゾ・ミツマタ・ガンピなどに「ねり」としてトロロアオイの根やノリウツギの皮を古くから用いていたと記されていました。
ノリウツギはトロロアオイのように温度の影響を受けることなく、夏季にも安定しているそうです。

気になっていたノリウツギをやっと記事にすることができました。
ピラミッドアジサイは今まだ蕾が出来かけたところです。
果実はできなかったと思いますが、今年また観察してみます。
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シチダンカ [花木(初夏)]

シチダンカ
  七段花
  アジサイ科アジサイ属(←ユキノシタ属)ヤマアジサイの一変種
  学名:Hydrangea serrata Ser. f. prolifera H. Ohba

この花はシーボルトの「日本植物誌」(1835〜1870年発行)に載録されていましたが、その後確認されず、「幻の花」と呼ばれていました。
ところが1959年六甲山で再発見され、神戸市森林植物園や六甲山小学校で挿し木増殖されて、今では日本中に広まっています。
シーボルトはドイツ人の医師でしたが、オランダの軍医として幕末(1823年)来日し7年間滞在しました。彼は西洋医学を伝授する傍ら、日本の植物の情報も集め、帰国後ツッカリーニの助力を得て「日本植物誌」を刊行しました。

シチダンカ満開2wb.jpg

シチダンカは八重咲きの装飾花が星のように見えるのが特徴といわれる花です。
先が尖った花弁状の萼片が数段、上にいくほど長さも巾も小さくなりながら重なっています。 萼片の枚数は8〜13枚くらい。 装飾花の長径は2〜2.5cm。
シチダンカ満開1wb2.jpg

シチダンカは淡い青紫色が美しい花ですが、咲き始めは淡いピンク、咲き進むと薄紫、紅紫、藍紫色などに変色することもあり、個体差もあるようです。
左上の葉はクレマチス。
シチダンカ20160602wb.jpg

もう一つの特徴は両性花が退化していること。
1・2枚目のように始めは蕾かと思えた両性花は開花せず、そのまま枯れて脱落します。
シチダンカ花弁紫2wb.jpg

色あせた装飾花が反転し始めました。
まだ両性花が残っています。
シチダンカ花弁反転前wb.jpg

両性花はそれぞれ異なる複雑な形をしています。
シチダンカ両性花1wb.jpg

拡大すると一部に花弁や雌しべらしい部分が見えますが、どれも形が崩れ、雄しべは認められません。
シチダンカ両性花2wb.jpg

退色して反転した萼片の裏面が見たくて1枝手折りました。
シチダンカ花弁反転表wb.jpg

裏返すと大きな萼片は緑っぽく、また小さい萼片は赤紫色で縁取られていました。
シチダンカ花弁反転裏wb.jpg

反転した装飾花は白く映え、名残の薄紫の花を引き立たせています。
反転はガクアジサイやヤマアジサイにも認められることがあり、特異的ではありません。
シチダンカ花弁反転3wb.jpg

さらにもう一つのシチダンカの特徴は細い葉です。
先の尖った長楕円形の葉が対生しています。長さは大きい葉で約12cm。
但し、ヤマアジサイの中にも細い葉を持つものがあります。
シチダンカ葉1wb.jpg

花も終盤、反転した白い萼片は緑色を帯び、さらに褐色になります。
シチダンカ花弁反転2wb.jpg

シチダンカはヤマボウシの下に植えてあります。
今年はしっかり大株になりました。高さ約1m。
むしろ他のヤマアジサイ達より勢いが良く、絶滅寸前だったことが不思議なほどです。
シチダンカ閉花20160613wb.jpg

比較のためシチダンカに似たヤマアジサイを載せておきます。
これは「ミヤマヤエムラサキ」。
萼片の先端がやや円く、両性花も揃っています。
ミヤマヤエムラサキ2012wb2.jpg

これもヤマアジサイの園芸品種です。
花はシチダンカに似た星型ですが葉が全く違います。
ミヤマヤエムラサキ南1wb3.jpg

今年はシチダンカの咲き始めの花を撮りそびれました。
うちのアジサイの中ではシチダンカが最も早く5月下旬から咲くため、見逃しやすいのです。
シチダンカについては「幻の花」の説明は多いのですが、具体的な文献が乏しいため我が家の1株について観察した記録を残しました。
間違いがあったらお教えいただけますようお願いします。

参考文献:大場秀章「シーボルト 日本植物誌」2007年、筑摩書房(ちくま学芸文庫)
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ヒョウスイボク(秤錘木) [庭の外]

ヒョウスイボク
   秤錘木
 エゴノキ科の落葉樹
 学名:Sinojackia xylocarpa 
 原産:中国(中国名:秤錘樹)

4月下旬、浜松フラワーパークで今まで見たことがない花に出会いました。
まだ広い公園を歩くのはままならぬ身ですが、電動車椅子を借りて孫達とこども広場へ行く途中でした。カメラは小さなコンデジのみ。
ヒョウスイボク2wb2.jpg

若葉の茂みの中に白い花を見つけました。何の花?
ヒョウスイボク名札1wb.jpg

「秤錘樹 エゴノキの仲間」と表示がありました。
とりあえず写真をとっておけば、あとで検索できます。
ところが Googleで「秤錘樹」と入力しても何も出てきません。
手持ちの図鑑でエゴノキ科を見ても絵合せ不能。
1wb.jpg

エゴノキの花と比べると、花弁が円くふくよかな印象です。
ヒョウスイボク2wb.jpg

花弁5〜7枚に見えますが、エゴノキのように花冠が深裂しているのかどうかは確認できません。
ヒョウスイボク1wb.jpg

多数の雄しべが雌しべを囲んでいます。
花糸は白色、葯は黄色。雄しべの束がくびれているのが特徴のようです。
ヒョウスイボク3wb.jpg

「秤錘樹」って何でしょう?
思い余って浜松フラワーパークへ問い合わせたところ、丁寧なお返事をいただきました。
この木は10数年前に当時の園長さんが中国雲南地方への視察の際持ち帰られたものだそうです。
「秤錘樹」の説明がある「中国高等植物図鑑」第3巻 341ページも添付して下さいました。
秤錘というのは建築の時などに垂直を決めるために用いられる(用いられた?)重りのことでした。果実がこの重りに似ていることから命名されたようです。
小石川植物園にも植栽されているそうです。

「ヒョウスイボク」と入力すると浜松フラワーパークの解説も出てきました。
  http://flowerpark.hamazo.tv/e1682401.html   (2009.4.18.)

ハクウンボク
これは同じくエゴノキ科のハクウンボクです。
つくば市の洞峰公園で初めてハクウンボクを見て撮った写真です。
ハクウンボク1wb.jpg

落花に気づいて見上げた時、大きな円い葉とその間から下垂する花に感動しました。
ハクウンボク2wb.jpg

花はエゴノキの花とよく似ていました。
ハクウンボク2wb3.jpg

エゴノキ
これは我が家のエゴノキです。
花数に圧倒されます。
エゴ20120517wb2.jpg

葉は長楕円形で先が尖っています。
エゴ20120517-1wb2.jpg

花冠は5深裂、雄しべ10本、雌しべ1本。
エゴノキ花2wb.jpg

エゴノキ属は世界に120〜130種もあるそうです。
私は今までにエゴノキとハクウンボクしか見ていませんでしたが、今回見たヒョウスイボクの花の美しさは忘れがたく、お忙しい浜松フラワーパークの学芸員さんにお尋ねしてしまいました。
秋になって果実が実る頃、今度は「秤錘」を見に行きたいものです。

追 記 - 1
「秤錘」を漢和辞典で調べようとしましたが、出ていません。
「秤」は「ショウ」と読み、禾(いね)の束を数える意から「はかる」意となったようです。でも天秤は「テンビン」と読みますね。
「ヒョウ」という読み方はどこから来たのでしょう?

追 記 - 2(2016.6.7.)
「追記-1」について花咲かおばさんからコメントをいただきました。
手元には大きな漢和辞典がありませんが、在るものでもう少し調べてみました。
「字統」によれば「はかり」の元の字は「稱」。旁(つくり)がハカリの重りを称(あ)げている形と。
「稱」から「称(ショウ)」さらに「秤」が用いられるようになったようです。
「角川漢和中辞典」には「秤」を「ショウと読むのは、称と意味がおなじところから、称の音で読んだもの」とあり、「ヒョウ」という読み方は出ていません。
しかし、今では「称」も用い方が変わってきており、「秤」も「ショウ」より旁のままの「ヒョウ」の方が通じやすそうですね。
早まって余分なことを追記したことをお詫びします。

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