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フシグロセンノウ  [草花(夏)]

フシグロセンノウ
  節黒仙翁  ナデシコ科マンテマ属(←センノウ属)の多年草
  学名:Lychnis miqueliana Rohrb.
  花期:7〜8月(当地)
  分布:本州・四国・九州の山地の林下など(日本の固有種)
  高さ:数十センチ

広葉樹の下の半日陰の庭。
タカサゴユリと白花のユーパトリウムとの間に橙色の花が見えます。
フシグロセンノウ全3wb.jpg

これがフシグロセンノウです。
フシグロセンノウ全1wb.jpg

今年の一番花。
野草らしからぬ鮮やかな朱赤色の花は1輪でも人目を引きます。
そのため各地で絶滅が危ぶまれているのです。
フシグロセンノウ2016-1wb.jpg

咲いたばかりの花。花弁は5枚。直径約5cm。
中心に5個の紫色の葯が見えます。まだ花粉は出ていません。
(これから花の経過を追いますが、以下は同じ花ではありません。)
フシグロセンノウ雄しべ1-3wb.jpg

葯が開いて花粉が出ています。
フシグロセンノウ雄しべ1-2wb2.jpg

はじめに出た雄しべが役目を終える頃、さらに5個の葯が現れます。
その周りの濃い朱赤色をしたものは鱗片と呼ばれ、花弁の基部に2個ずつあります。
フシグロセンノウ雄しべ次wb.jpg

この花では雄しべが10本のように見えますが、外側5本の葯は花粉を出しつつ花糸が伸びて退縮中。
遅れて出た内側の5個の葯は花粉真っ盛りです。
フシグロセンノウ雄しべ2wb3.jpg

この花では初めの雄しべは花糸を長く伸ばして後退。
フシグロセンノウ雄しべ200907wb1.jpg

二度目の雄しべが出揃った後、おもむろに雌しべが現れます。
雄性先熟ですね。
フシグロセンノウ雌しべ1-2wb2.jpg

雌しべの花柱は5本、先端の曲がっているところが柱頭です。
雄しべ計10本が鱗片の後ろに倒れた頃、花柱が伸び、柱頭が熟して他花からの花粉を待つのでしょう。
フシグロセンノウ雌しべ3wb.jpg

接写すると柱頭はやや彎曲し白く輝いていました。
この状態では花粉が付いているようには見えません。
人工授粉してみましょう。
小筆に他花の花粉を付けてから、この柱頭を撫でました。
フシグロセンノウ柱頭-1wb.jpg

その後接写すると柱頭は薄い紫色を帯びて見えますが、花粉までは見分けられません。
フシグロセンノウ柱頭3wb.jpg

柱頭を1個採って顕微鏡で見ると、円い花粉10余個が突起の間に付着していることを確認できました。
フシグロセンノウ柱頭顕wb2.jpg

開花直前の蕾、萼は約3 cm、先端が5裂しています。
フシグロセンノウ蕾1wb.jpg

花は3つ並んで咲くことが多い。
フシグロセンノウ萼wb.jpg

フシグロセンノウとは節黒仙翁、節が黒いことから、また「仙翁」は京都嵯峨の仙翁寺にちなむ花からの命名のようです。
本当に節が黒いかどうか、確認します。
上の方の葉は小さく長さ2cmほどで対生、節は確かにやや黒ずんでいました。
フシグロセンノウ葉小wb.jpg

葉は下部にいくほど大きく卵形になります。
しかし節の色はあまり目立たないこともありました。
フシグロセンノウ葉大小wb.jpg

この節は膨れて暗紫褐色に染まっています。
茎や葉に白い軟毛が生えているのもみえます。
フシグロセンノウ節4wb.jpg

さらに下の方では葉が大きくなり、長さ10cmほどの長楕円状披針形。
フシグロセンノウ茎と葉wb.jpg

そのまた下に明らかに「節黒」といえる節がありました。
左の節は特に色濃く、紫黒色です。
フシグロセンノウ節3wb.jpg

庭にはナミアゲハなどの蝶は時々見かけますが、フシグロセンノウを訪れた昆虫は確認できませんでした。
そのためか、結実は少なく、ほとんどの花が脱落していきます。
ここでは6花中1花だけ子房が膨らんでいます。
フシグロセンノウ果実1wb.jpg

このところ当地は37℃に達する猛暑が続いています。
昨日は外出したため、今朝見に行くと葉の一部が萎れ、まだ咲いているはずの花が既に閉じていました。
すぐたっぷり散水したところ葉は元気になりましたが、このまま実が熟すかどうか心配です。
盗掘のみでなく結実率の低さや温暖化もフシグロセンノウの絶滅に関与しているのかもしれません。

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