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ワレモコウの水孔 [草花(夏)]

ワレモコウの水孔 
 ワレモコウ   吾亦紅  吾木瓜
 バラ科ワレモコウ属の多年草

ワレモコウの花については2010-11-28の記事にしました。
今回はワレモコウの葉に並ぶ水玉の観察です。

雨後の朝、葉縁に水玉が並んでいました(2016.7.10.)。
ワレモコウ20160710wb.jpg

拡大すると水玉は紅や緑の美しい球体でした。
葉縁の紅色や葉の緑色を写し込んでいるようです。
しかし、葉の下半分には雨滴と思われる不定形の水玉も混在しています。
ワレモコウ20160710wb2.jpg

ワレモコウの葉は羽状複葉。
小葉は5−9枚・長楕円形が多いようです。
ワレモコウ葉
20160714wb.jpg

葉裏は帯白色。
水玉が編笠の縁飾りのように並んでいました。
ワレモコウ水玉パレードwb.jpg

ほぼ同じ大きさの水滴がずらりと1周。
ワレモコウ水滴wb.jpg

かと思えば大小様々のことも。
ワレモコウ水玉2wb2.jpg

水玉は若い葉にできます。まだ開ききっていない葉では1列縦隊。
ワレモコウ20160711-2wb2.jpg

朝日が当たると虹色が現れることがありますが、写真には写しにくい。
ワレモコウ虹の玉wb.jpg

ピントはずれの部分に写っていた虹色の水滴。
ワレモコウ水滴13wb.jpg

見事な球体。
ワレモコウの水玉は根から吸い上げた水分が過剰になったとき、葉縁にある水孔から排出されて出来ます。
水分が多い時には一夜に何回も落ちては出来るそうです。
ワレモコウ水玉1wb2.jpg

ワレモコウの水孔は葉縁の鋸歯の先端にあります。
手前の葉縁では水孔の部分に赤い色素が多いようですね。
ワレモコウ水孔wb.jpg

水玉が合体して大きくなることも。
ワレモコウ水滴12wb.jpg

これは合体しすぎて破裂寸前。
ワレモコウ水玉1wb3.jpg

ここ2〜3日は雨後の朝、期待して見に行っても雨滴のみです。
また来年のお楽しみでしょうか。
ワレモコウ雨滴2wb2.jpg

ワレモコウの水玉を知ったのは3年前NHKスペシャルで埴沙萠さんの撮られた映像を見てからです。その後うちの庭でも容易に見られて感激しました。
水孔は気孔と同じく1対の孔辺細胞に囲まれていますが、開閉はせずいつも開いているようです。
水玉の内容は単なる水ではなく、ワレモコウの組織を通ってくる間に変化した液体なのでしょう。分析すれば見事な球を形成する成分が分かりそうですが..........。
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クサカゲロウとキスゲフクレアブラムシ−2 [昆虫]

キスゲフクレアブラムシ

昨年ユウスゲに付いたキスゲフクレアブラムシを記事にしました。
ところが、今年はさらに被害が大きく、特に中庭のユウスゲ2世は蕾も大きくならず立ち枯れする茎もありました(画像追加1)。
ユウスゲ・アブラムシ4wb.jpg

昨年同様、下に袋を受けてアブラムシを擦り落とそうとしたのですが、敵もさるもの、気配を感じるとぱらぱらとこぼれ落ち、翌日は元の木阿弥。
アブラムシ蕾2wb.jpg

大小の幼虫がどこからともなく這い上がってきます。
キスゲフクレアブラムシ大小wb.jpg

しかし昨年は有翅型の成虫を確認できなかったため今年は是非見たいと思っていました。
これを見るまではユウスゲとキスゲフクレアブラムシとが共存して欲しい。
誠に身勝手な願いです。
大きなお腹! 無翅成虫でしょうか?
キスゲフクレアブラムシ幼虫wb.jpg

あ、翅です!
羽化したてでしょうか? まだ翅が伸びていないようです。
キスゲフクレアブラムシ羽化直後wb.jpg

これがキスゲフクレアブラムシの有翅型の成虫です!
キスゲフクレアブラムシ成虫4wb.jpg

有翅型の成虫が続々誕生。蕾が枯れかけています。
キスゲフクレアブラムシ成虫wb.jpg

見るべきものを見たら、今度はユウスゲを助けねばなりません。
とりあえず、センニンソウのキイロハバチに用いた室内用殺虫スプレーを一吹き!
驚くべき効果でした。アブラムシは忽ち黄変し動かなくなりました。

クサカゲロウ
   草蜻蛉 (草蜉蝣)・ 臭蜻蛉(臭蜉蝣)
   英名 Green lacewing
有翅昆虫亜綱アミメカゲロウ目アミメカゲロウ亜目クサカゲロウ科
  
殺虫剤の使用はできるだけ少なくしたい、そう思って遠慮がちに吹きかけていた時、倒れかかったユウスゲの茎に白い点々を見つけました(2016. 6.20.)。
もしや? 
やはり前から見たかったクサカゲロウの卵です。
これはウドンゲ(優曇華)とも呼ばれています(画像追加2)。
ユウスゲ・アブラムシ1wb.jpg

実はクサカゲロウはアブラムシの天敵なのです。
クサカゲロウの幼虫のためには餌となるアブラムシを残してやらなければなりません。
ややこしいことになってきました(2016. 6.22.)。
クサカゲロウ卵0622-3wb1.jpg

1週後1個は孵化したよう、3個は孵化間近なのか黒っぽくなっていました。
クサカゲロウの幼虫はアブラムシを食べてその殻を背に乗せる習性があるそうです。
しかし、その後それらしい幼虫の姿は見つかりませんでした(2016. 6.29.)。
クサカゲロウ卵0629-1wb.jpg

クサカゲロウの成虫には以前に2回出会っていました。
これは2011.8.11. スイフヨウの葉の上。
クサカゲロウとは正しくはクサカゲロウ科に属する昆虫の総称で、日本だけでも40種もいるそうです。
夜行性のため昼間はあまり見かけません。
クサカゲロウ20110wb.jpg

画像を拡大すると顔の黒点が現れました。とするとヨツボシクサカゲロウでしょうか?
左の触覚は折れてしまったようです。
クサカゲロウ201108wb2.jpg

もう1枚は太郎庵椿の花にいたクサカゲロウです(2008.11.15.)。
ピンボケで顔が全く見えませんが、緑色の羽模様が美しい。
和名は草のような色だから草蜻蛉かと思ったら、触れると臭い匂いを出す種があるから臭蜻蛉という説もありました(この項一部訂正)。
クサカゲロウ20071118wb.jpg

裏庭に移植したユウスゲ2世です。(2016. 6.15. 17:29)
こちらにはまだキスゲフクレアブラムシが着いていません。
ユウスゲ2016-1wb.jpg

日当たりも風通しも良いところで次々と開花しています。
ユウスゲ2016-2wb.jpg

後ろの白い花はモナルダ・ホワイト。
ユウスゲ2016-3wb.jpg

「夕菅の庭」と名付けたもののたった一株では絶滅が心配になり、2009年人工授粉して2世を育てました
その後、中庭では1世も2世もキスゲフクレアブラムシに襲われましたが、この裏庭の2世だけは今年も元気に開花中です。

ユウスゲに産み付けられた期待の天敵・クサカゲロウは今年は無力のまま消えました。
キスゲフクレアブラムシの勢いに焦って殺虫剤をかけてしまいましたが、後でアブラムシの駆除には牛乳を試すはずだったことを思い出しました。また出てきたら是非試してみたいと思います。

#パソコン上で行方不明になっていた画像が見つかり、2枚追加しました(2016.7.13.)。
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ノリウツギ2種 [花木(夏)]

ノリウツギ
 糊空木 アジサイ科アジサイ属の落葉低木
 学名:Hydrangea paniculata
 別名:サビタ・ノリノキ
 分布:北海道、本州、四国、九州
 花期:6〜8月
 高さ:2〜5m
ノリウツギは円錐花序と粘着性のある樹液を特徴とするアジサイ属の低木です。
この庭には2種のノリウツギの園芸種が咲きます。

ダルマノリウツギ
達磨糊空木
15年前に植えた1株がこんな大株になりました。
はじめ「達磨乗り空木」かとも思いましたが、糊空木の矮性種でした。
さらに調べるとノリウツギの中でも早咲きのエゾノリウツギの変異種のようで、苗は園芸店で販売されています。
ダルマノリウツギ2014wb.jpg

ガクアジサイのように周辺に装飾花、中央に両性花が開きます。
高さは約1m。剪定もほとんど要らず、庭には重宝な花木です。
ダルマノリウツギ2009wb.jpg

円錐花序。
装飾花は白い萼片4枚が花弁のように開きます。直径約3cm。
ダルマノリウツギ11-14wb.jpg

この花はハナムグリの大好物らしく、咲くや否やどこからともなく集まってきます。
アオハナムグリは緑色に光って美しい。
ダルマノリウツギ2012ハナムグリwb.jpg

貪食中の大きなアオハナムグリ。
ダルマノリウツギ11-2wb.jpg

両性花は花弁5枚、雄しべ10本、雌しべは3本が多いようです。直径約1cm。
装飾花の蕾は開きません。
ダルマノリウツギ2wb.jpg

両性花が散る頃、装飾花はピンク色を帯びます。
ダルマノリウツギ紅変wb.jpg

さらに装飾花は下垂して俯きます。
ダルマノリウツギ紅化1wb.jpg

びっしりと集簇する若い果実。
概ね3個づつ、柱頭の跡が残っています。
ダルマノリウツギ若い実wb.jpg

昨年9月23日の画像。
蒴果はすでに開いていますが、装飾花の萼はまだ残っています。
ダルマノリウツギ果実0923-1@2.jpg

そのまま放置したら雪の日のアクセサリーに。
ダルマノリウツギ枯花2014-2wb2.jpg

ピラミッドアジサイ
 学名:Hydrangea paniculata f. grandiflora
 花期:7〜8月
もう一種類は殆どが装飾花で両性花が無い、もしくは非常に少ない園芸種です。
水無月(旧暦)に咲くので「ミナヅキ」とも呼ばれます。
ノリウツギ2014wb.jpg

高さは2〜3mになりますが枝は直立しにくくしな垂れて、花は1〜1.5mの高さで咲きます。
葉は対生または3輪生。
ピラミッド2014wb2.jpg

クリーム色を帯びた白色の花が先の方へと咲き進みます。
ピラミッド2014-1wb.jpg

量感たっぷりの見頃の花。
この他、花の色がライムグリーンの「ライムライト」という品種も普及しています。
ピラミッド08-2wb.jpg

さて、やはり「糊空木」たる証拠を確認したくなります。
まず、ダルマノリウツギ(右)とピラミッドアジサイ(左)の枝を切り断面を見ました。
共に中心部は白く、発泡スチロールのように崩れます。これが空木の所以でしょう。
ピラミッド断面wb.jpg

次に糊の成分はどこにあるのでしょう。
ピラミッドアジサイの若い枝を切って茶色の樹皮(1段目)を剥ぐと、2段目の美しい緑色の靭皮(じんぴ)が現れます。
3段目は薄く剥いだ靭皮、この内側はネバネバします。
靭皮を剥いだあとは4段目のように白っぽくなりました。
ピラミッド樹皮2wb2.jpg

今度は出来るだけ1枚になるように樹皮(左)と靭皮(中)を剥ぎました。
やはり靭皮に粘液があるらしく、指で軽く押すと指に着いて持ち上がりました。
そこで同じように靭皮を数枚剥いで水を加えて放置したところ、とろりとした粘液が得られました。
これは2010年サネカズラで試したことを参考にしたのです。
ピラミッド樹皮2wb3.jpg

手作り和紙の作り方をブログ検索すると、コウゾ・ミツマタ・ガンピなどに「ねり」としてトロロアオイの根やノリウツギの皮を古くから用いていたと記されていました。
ノリウツギはトロロアオイのように温度の影響を受けることなく、夏季にも安定しているそうです。

気になっていたノリウツギをやっと記事にすることができました。
ピラミッドアジサイは今まだ蕾が出来かけたところです。
果実はできなかったと思いますが、今年また観察してみます。
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シチダンカ [花木(初夏)]

シチダンカ
  七段花
  アジサイ科アジサイ属(←ユキノシタ属)ヤマアジサイの一変種
  学名:Hydrangea serrata Ser. f. prolifera H. Ohba

この花はシーボルトの「日本植物誌」(1835〜1870年発行)に載録されていましたが、その後確認されず、「幻の花」と呼ばれていました。
ところが1959年六甲山で再発見され、神戸市森林植物園や六甲山小学校で挿し木増殖されて、今では日本中に広まっています。
シーボルトはドイツ人の医師でしたが、オランダの軍医として幕末(1823年)来日し7年間滞在しました。彼は西洋医学を伝授する傍ら、日本の植物の情報も集め、帰国後ツッカリーニの助力を得て「日本植物誌」を刊行しました。

シチダンカ満開2wb.jpg

シチダンカは八重咲きの装飾花が星のように見えるのが特徴といわれる花です。
先が尖った花弁状の萼片が数段、上にいくほど長さも巾も小さくなりながら重なっています。 萼片の枚数は8〜13枚くらい。 装飾花の長径は2〜2.5cm。
シチダンカ満開1wb2.jpg

シチダンカは淡い青紫色が美しい花ですが、咲き始めは淡いピンク、咲き進むと薄紫、紅紫、藍紫色などに変色することもあり、個体差もあるようです。
左上の葉はクレマチス。
シチダンカ20160602wb.jpg

もう一つの特徴は両性花が退化していること。
1・2枚目のように始めは蕾かと思えた両性花は開花せず、そのまま枯れて脱落します。
シチダンカ花弁紫2wb.jpg

色あせた装飾花が反転し始めました。
まだ両性花が残っています。
シチダンカ花弁反転前wb.jpg

両性花はそれぞれ異なる複雑な形をしています。
シチダンカ両性花1wb.jpg

拡大すると一部に花弁や雌しべらしい部分が見えますが、どれも形が崩れ、雄しべは認められません。
シチダンカ両性花2wb.jpg

退色して反転した萼片の裏面が見たくて1枝手折りました。
シチダンカ花弁反転表wb.jpg

裏返すと大きな萼片は緑っぽく、また小さい萼片は赤紫色で縁取られていました。
シチダンカ花弁反転裏wb.jpg

反転した装飾花は白く映え、名残の薄紫の花を引き立たせています。
反転はガクアジサイやヤマアジサイにも認められることがあり、特異的ではありません。
シチダンカ花弁反転3wb.jpg

さらにもう一つのシチダンカの特徴は細い葉です。
先の尖った長楕円形の葉が対生しています。長さは大きい葉で約12cm。
但し、ヤマアジサイの中にも細い葉を持つものがあります。
シチダンカ葉1wb.jpg

花も終盤、反転した白い萼片は緑色を帯び、さらに褐色になります。
シチダンカ花弁反転2wb.jpg

シチダンカはヤマボウシの下に植えてあります。
今年はしっかり大株になりました。高さ約1m。
むしろ他のヤマアジサイ達より勢いが良く、絶滅寸前だったことが不思議なほどです。
シチダンカ閉花20160613wb.jpg

比較のためシチダンカに似たヤマアジサイを載せておきます。
これは「ミヤマヤエムラサキ」。
萼片の先端がやや円く、両性花も揃っています。
ミヤマヤエムラサキ2012wb2.jpg

これもヤマアジサイの園芸品種です。
花はシチダンカに似た星型ですが葉が全く違います。
ミヤマヤエムラサキ南1wb3.jpg

今年はシチダンカの咲き始めの花を撮りそびれました。
うちのアジサイの中ではシチダンカが最も早く5月下旬から咲くため、見逃しやすいのです。
シチダンカについては「幻の花」の説明は多いのですが、具体的な文献が乏しいため我が家の1株について観察した記録を残しました。
間違いがあったらお教えいただけますようお願いします。

参考文献:大場秀章「シーボルト 日本植物誌」2007年、筑摩書房(ちくま学芸文庫)
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ヒョウスイボク(秤錘木) [庭の外]

ヒョウスイボク
   秤錘木
 エゴノキ科の落葉樹
 学名:Sinojackia xylocarpa 
 原産:中国(中国名:秤錘樹)

4月下旬、浜松フラワーパークで今まで見たことがない花に出会いました。
まだ広い公園を歩くのはままならぬ身ですが、電動車椅子を借りて孫達とこども広場へ行く途中でした。カメラは小さなコンデジのみ。
ヒョウスイボク2wb2.jpg

若葉の茂みの中に白い花を見つけました。何の花?
ヒョウスイボク名札1wb.jpg

「秤錘樹 エゴノキの仲間」と表示がありました。
とりあえず写真をとっておけば、あとで検索できます。
ところが Googleで「秤錘樹」と入力しても何も出てきません。
手持ちの図鑑でエゴノキ科を見ても絵合せ不能。
1wb.jpg

エゴノキの花と比べると、花弁が円くふくよかな印象です。
ヒョウスイボク2wb.jpg

花弁5〜7枚に見えますが、エゴノキのように花冠が深裂しているのかどうかは確認できません。
ヒョウスイボク1wb.jpg

多数の雄しべが雌しべを囲んでいます。
花糸は白色、葯は黄色。雄しべの束がくびれているのが特徴のようです。
ヒョウスイボク3wb.jpg

「秤錘樹」って何でしょう?
思い余って浜松フラワーパークへ問い合わせたところ、丁寧なお返事をいただきました。
この木は10数年前に当時の園長さんが中国雲南地方への視察の際持ち帰られたものだそうです。
「秤錘樹」の説明がある「中国高等植物図鑑」第3巻 341ページも添付して下さいました。
秤錘というのは建築の時などに垂直を決めるために用いられる(用いられた?)重りのことでした。果実がこの重りに似ていることから命名されたようです。
小石川植物園にも植栽されているそうです。

「ヒョウスイボク」と入力すると浜松フラワーパークの解説も出てきました。
  http://flowerpark.hamazo.tv/e1682401.html   (2009.4.18.)

ハクウンボク
これは同じくエゴノキ科のハクウンボクです。
つくば市の洞峰公園で初めてハクウンボクを見て撮った写真です。
ハクウンボク1wb.jpg

落花に気づいて見上げた時、大きな円い葉とその間から下垂する花に感動しました。
ハクウンボク2wb.jpg

花はエゴノキの花とよく似ていました。
ハクウンボク2wb3.jpg

エゴノキ
これは我が家のエゴノキです。
花数に圧倒されます。
エゴ20120517wb2.jpg

葉は長楕円形で先が尖っています。
エゴ20120517-1wb2.jpg

花冠は5深裂、雄しべ10本、雌しべ1本。
エゴノキ花2wb.jpg

エゴノキ属は世界に120〜130種もあるそうです。
私は今までにエゴノキとハクウンボクしか見ていませんでしたが、今回見たヒョウスイボクの花の美しさは忘れがたく、お忙しい浜松フラワーパークの学芸員さんにお尋ねしてしまいました。
秋になって果実が実る頃、今度は「秤錘」を見に行きたいものです。

追 記 - 1
「秤錘」を漢和辞典で調べようとしましたが、出ていません。
「秤」は「ショウ」と読み、禾(いね)の束を数える意から「はかる」意となったようです。でも天秤は「テンビン」と読みますね。
「ヒョウ」という読み方はどこから来たのでしょう?

追 記 - 2(2016.6.7.)
「追記-1」について花咲かおばさんからコメントをいただきました。
手元には大きな漢和辞典がありませんが、在るものでもう少し調べてみました。
「字統」によれば「はかり」の元の字は「稱」。旁(つくり)がハカリの重りを称(あ)げている形と。
「稱」から「称(ショウ)」さらに「秤」が用いられるようになったようです。
「角川漢和中辞典」には「秤」を「ショウと読むのは、称と意味がおなじところから、称の音で読んだもの」とあり、「ヒョウ」という読み方は出ていません。
しかし、今では「称」も用い方が変わってきており、「秤」も「ショウ」より旁のままの「ヒョウ」の方が通じやすそうですね。
早まって余分なことを追記したことをお詫びします。

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セアノサス2種 [花木(初夏)]

セアノサス(ケアノトス)属
クロウメモドキ科 Ceanothus
別名:カリフォルニア ライラック
原産 カナダ南部~メキシコ北部。特にカリフォルニア州に多く生育。

セアノサスについては既に2009.5.31.の記事「セアノサス‘マリー・サイモン’」と2014.5.31.「5月の庭」に書きましたが、改めてこの庭の2種についてまとめておきたいと思います。

セアノサス‘マリー・サイモン’ 
学名:Ceanothus pallidus 'Marie Simon'
耐寒性落葉低木 高さ:約2m
花期:5月〜6月

プロペラの近くに植えた2株目のセアノサス‘マリー・サイモン’は今年さらに伸びて、2mを超えました。
セアノサス2016-1wb.jpg

5月22日、淡桃色のブーケのような花が五月晴れの空に輝いていました。
セアノサス2016-2wb.jpg

こちらは16年前初めに植えた古株ですが、まだ2mにはなっていません。
セアノサス2012-2wb.jpg

小花の集団が紅色を帯びた細い茎と共に風に揺れます。
セアノサス2011-1wb2.jpg

オルラヤの白、ニゲラの青ともよく合います。
セアノサスなど2012wb.jpg

蕾は花形の金平糖のよう。
セアノサス蕾4wb.jpg

散形状集散花序。
セアノサス花序wb.jpg

花柄は1〜1.5cm、開花直前の蕾は直径約3mm。
セアノサスマリー3wb.jpg

蕾の隙間から花弁と雄しべが現れます。
セアノサス開花2wb3.jpg

スプーンのような花弁と褐色の葯の雄しべが1本づつ、5組飛び出しています。
中心に見えるのは3裂した雌しべの花柱。
セアノサス花up1wb.jpg

昆虫が次々とやってきます。これはセイヨウミツバチ。
セアノサス蜜蜂wb2.jpg

卵形の葉は互生し、鋸歯があります。光沢はなく大きい葉は長径7cmくらい。
セアノサス葉wb.jpg

セアノサス‘ベルサイユ’
 学名:Ceanothus x delileanus ' Gloire de Versailles
 耐寒性常緑〜半常緑低木 高さ: 約2m
 花期:5月〜6月

隣に植えたセアノサス ‘ベルサイユ’は淡いブルーの花が咲きます。
これは一番花がたくさん咲いた2010. 6. 8.に撮影したもの。
その後やや大きくなりすぎて剪定しましたが、今年はミノムシに取り憑かれて元気がありません。
セアノサスB10-1wb.jpg

咲き始めの頃。
セアノサスB2009枝wb.jpg

‘ベルサイユ’の花は‘マリー・サイモン’に比べふっくらせず、円錐形になります。
セアノサスB11wb.jpg

開花直前の蕾は直径約4mmで大きいのですが、花柄は1cmくらいです。
セアノサスB2009upwb.jpg

花の形は同じ。花柄が短いので花が密集します。
葯は黄褐色〜褐色。
セアノサスベルサイユ1wb.jpg

偶々、3裂した柱頭が光っていました。
萼の隙間から見える暗っぽいものは何でしょう?
セアノサスベルサイユ2wb.jpg

萼の先端と上部の花弁・雄しべをピンセットで取り除きました。
出てきたのは蜜を分泌する花盤でした。昆虫は隙間から吸蜜するのでしょう。
セアノサス蜜2wb.jpg

‘ベルサイユ’の花は‘マリー・サイモン’よりやや遅れて咲きます。
隣にあってもなかなか揃った写真が残せません。
セアノサス2色wb.jpg

セアノサスM&B3wb2.jpg

花の直径は‘マリー・サイモン’が約6mm、’ベルサイユ’が約8mm。
セアノサス比較wb.jpg

葉も’ベルサイユ’(上)の方がやや大きく、大きいものは7〜8cmで光沢があります。
‘マリー・サイモン’(下)は6〜7cm止まりで光沢がありません。
セアノサス葉2種wb.jpg

赤い実がたくさんできることがあります(2010年7月10日)。
セアノサス実wb.jpg

熟すと黒い核果になります(2009年7月5日)。
セアノサス実090705wb.jpg

Ceanothusは植物分類表(アボック社)や朝日百科植物の世界では「ケアノトス」、園芸植物(山と渓谷社)では「ケアノサス」と表記されています。
しかし一般に園芸店ではセアノサスとして流通しているため、ここでは「セアノサス」と記載しました。
未だあまり普及していないようですが、この庭で放りっぱなしで育っていますから庭木としてお勧めです。
園芸植物のため参考文献が少なく、素人がまとめましたので誤りがあるかもしれません。
その節はお知らせいただけますうよう、お願い申し上げます。
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ルリハコベとアカバナルリハコベ  [草花(春)]

ルリハコベとアカバナルリハコベ 
  サクラソウ科の1年草
 ルリハコベ      Anagallis arvensis f. coerulea
 アカバナルリハコベ Anagallis arvensis f. arvensis

2年前花友達さんからいただいた種子からルリハコベとアカバナルリハコベが咲きました。
ブログの記事にしようかと検索した時なかなかさんのHPに興味ある記事を発見しました。
   http://www.juno.dti.ne.jp/~skknari/akabana-rurihakobe.htm
ところが、さっそく確認に行くと何とまあ、すでに花は萎れ花期は終わったようでした。
昨秋は種子を蒔きそびれましたが、幸いにも零れ種で両方とも芽生えました。
今年は2種の ルリハコベを自分の目で見てみたいと思います。

ルリハコベ
ルリハコベ全2wb.jpg

ルリハコベの花は直径1cmほど、茎は平地を這いつつ斜上し10〜30cmになります。
葉は対生、2〜3cmの細い花柄の先に瑠璃色の花が一つ咲きます。
ルリハコベ2upwb.jpg

花冠・萼共に深く5裂。花の中心部は濃いピンク。
雄しべ5本、雌しべ1本。
花冠の辺縁のギザギザに注目!
ルリハコベ花B1wb3.jpg

1花採って白紙に載せてコンデジで接写しました。
ルリハコベ花B2wb.jpg

拡大すると小さい突起が並んで見えました。
これならルーペでも見えそうですね。
ルリハコベ花B2wb2.jpg

顕微鏡で見ると突起の先端は赤い玉のように見えます。
ルリハコベ花弁縁1wb2.jpg

さらに拡大。突起は3個の細胞から作られているようです。
一番上は濃いピンク色の大きい楕円球です。
ルリハコベ花弁突起1wb2.jpg

アカバナルリハコベ 
ルリハコベとアカバナルリハコベとは花冠の色が異なるだけで、他は同じようです。
ルリハコベ全1wb.jpg

花の中央の色もルリハコベと同じ濃いピンク色。
半球状の子房の中央に雌しべ1本、周辺に雄しべ5本。
花糸には赤い毛が生えています。
ルリハコベR2wb.jpg

やはり花冠の辺縁には点状の突起が並んでいます。
ルリハコベR突起6wb.jpg

顕微鏡で拡大。                   
ルリハコベR花弁upwb2.jpg

さらに拡大すると、ルリハコベと同じく、美しい突起が見えました。
(2016.5.18.画像入れ替えました。)
ルリハコベR突起3wb.jpg

これはルリハコベの雄しべと雌しべです。
花糸には長い毛がたくさん生えています。
花糸と毛の色はルリハコベ・アカバナルリハコベ共に同じくピンク色。
この毛はムラサキツユクサの雄しべの毛に似ていますね。
なんの役割を果たしているのかはわかりません。
_ルリハコベB腺毛1wb.jpg

顕微鏡で確認。
花糸から出た細胞が10個ほど1列に並んでいます。
細胞は先端では球形、基部に行くほど長くなります。
ルリハコベ腺毛wb.jpg

ルリハコベの実は花柄が抱え込むような形で大きくなります。
ルリハコベ実1wb.jpg

大きくなると地球でいうなら赤道部に条が入り、完熟すると直径4mmの淡褐色の球形になります。
ルリハコベ果実1wb.jpg

まだ完熟した果実が見つからないので、この緑色の果実を赤道面で開いてみました。
上半球の帽子がポッカリ開きました。
ルリハコベ果実4wb.jpg

やや褐色になった果実を見つけて再挑戦。
今度は帽子の下から種子が18個こぼれ落ちました。
熟すと暗褐色、若い種子は緑色です。
ルリハコベ種子2wb2.jpg

ルリハコベ・アカバナルリハコベは共にヨーロッパ原産で世界の熱帯から温帯に分布する帰化植物と考えられています。
日本ではルリハコベが伊豆七島・本州・四国・九州・琉球諸島の海岸近くに生育し、瑠璃色の花が咲くハコベ と名付けられ、のちに赤い花が咲くルリハコベが本州~九州に帰化したため、アカバナルリハコベという奇妙な和名がついたようです。
しかし、世界的に見るとアカバナルリハコベが母種(基準品種)とされています。
詳しくはなかなかさんのHPをご覧ください。

やっとルリハコベとアカバナルリハコベを観察することができました。
この花達は朝日が昇ってから開花し午後3時頃には花冠を閉じてしまいます。
花冠の色が瑠璃色と橙赤色で対照的ですが、花の内部や花糸・毛の先端の色は濃いピンク色で共通だったことも印象的でした。
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丈夫な花たち [草花(春)]

毎年のことながら、早春の花たちは惜しまれながら消えて行きます。
代わってその後には暑さ寒さに強い丈夫な花たちが登場します。
駐車場と裏の畑の間には赤いヒナゲシとオルラヤ・グランディフローラが「自主的に」紅白の花壇を作ってくれました。全て零れ種です。
ポピーR1wb.jpg

昨年はピンクもあったヒナゲシが今年はほとんど赤色です。
これは少数派の赤の覆輪。
ヒナゲシ2015-3wb.jpg

白い花はオルラヤ・グランディフローラ(Orlaya grandiflora)。
ヨーロッパ原産のセリ科植物ですが、雑草並みの繁殖力です。  
オルラヤ-‘ホワイトレース’1wb.jpg

白い大きな花が次々と開花、昆虫の訪問も頻繁です。
オルラヤ2016-2wb.jpg

これは奥の家庭菜園に自生したボリジ。最近まで周りはナバナでした。
こんなに大きな株ですが、1株です。
ボリジはムラサキ科、学名 Borago officinalis。
ポリジ2016-1wb.jpg

青い星型の花が俯き加減にたくさん咲きます。
茎も葉も毛むくじゃらです。
ポリジ2wb.jpg

リクニス フロスククリも大株になりました。
暑さ寒さに強い丈夫な宿根草です。ナデシコ科。
リクニス フロスククリ1wb.jpg

個々の花は5枚の花弁がそれぞれ4裂してなかなか繊細です。
一緒に植えた白い花の園芸種‘ホワイトロビン’は消えてしまいました。
リクニス フロスククリ2wb.jpg

ツルニチニチソウの青紫色が今年も輝いています。
壺は初めから口が割れていたものを昔骨董屋さんで買ったもの。
古備前風です。
ツルニチニチソウ壺wb.jpg

ツルニチニチソウの花は誠に端正です。
ツルニチニチソウupwb.jpg

Iさんから頂いた春咲きグラジオラスも年々大きくなり、今年はこんなにたくさん開花。
細い葉にやさしいクリーム色の花が上品です。
春咲きグラジオラス1wb.jpg

日陰のチョウジソウが増えすぎたので半分モモの木の下に移植しました。
たちまち大株になって、日陰の花より明るいブルーの花をたくさん付けました。
やはりチョウジソウは半日陰の方が育ちやすいようです。
チョウジソウ2016日向wb.jpg

名の如く丁子型に咲く花。
チョウジソウ2016-3wb.jpg

イベリスはアブラナ科。
イベリスには1年草と多年草があります。
これは多年草のイベリス・センペルビレンス(Iberis sempervirens)です。
日当たりが良い方がいいのかと思ったら、朝日だけ当たる日陰でマット状に広がりました。
むしろ夕日に弱いようです。
別名 トキワナズナ の名の如く、常緑の葉もきれいです。
イベリス1wb.jpg

半球状の花は1cmくらいの小花の集まりです。
それぞれの小花の花弁は4枚、そのうち外側2枚が大きく張り出しています。
(どの画像も画面をクリックすると大きくなります。)
イベリス2wb.jpg

続く日陰の庭では赤い花のヒューケラ、ヒメフウロ、ペラペラヨメナが咲き乱れています。
何もしなくても咲き続けてくれる愛すべき花たちです。
日陰の庭2016wb.jpg

10年ほど前、腰痛との付き合いが始まった頃から、四季を通じて花が咲く庭を作っておこうと思いました。
今年は大きな手術を受け、今後も庭仕事は無理なようですが、幸い、自分で歩いて庭を見ることはできます。
ほとんど手入れがいらない丈夫な花たちはこれからも庭歩きを楽しませてくれることでしょう。
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オオチョウジガマズミ ? [花木(春)]

オオチョウジガマズミ 
    大丁字ガマズミ
  レンプクソウ科( ←スイカズラ科)ガマズミ属の落葉低木
  学名:Viburnum carlesii var. carlesii
  花期:4月
  分布:長崎県の対馬・済州島・朝鮮半島南部
     絶滅危惧ⅠB類 (EN) 

今年はオオチョウジガマズミに蕾がたくさん出来ました。
この花は2009年4月にも少し登場しましたが、もう一度取り組みたく思っていました。
ところが調べてみると、日本での分布は対馬のみに限られた絶滅危惧種であり、数種の交雑種が販売されていることもわかり、これが真のオオチョウジガマズミかどうかと悩みました。
16年前苗を購入した地元の園芸店は既に閉店し、尋ねることもできません。
悩んだ末、お教えを期待して(?)をつけての再登場とさせていただきました。
どうぞよろしくお願い申しあげます。

3月29日、赤い蕾が揃いました。
20160329-2wb.jpg

3日後には開花し始めました。
20140401-3wb.jpg

その経過を接写で見ていきます。
3月25日、赤褐色の蕾を発見。
20160325-1wb.jpg

蕾は次第に桃赤色になり花筒が伸びます。
オオチョウジガマズミ2013蕾wb.jpg

開花直前。花筒は白く花冠はピンクに染まりました。
20140403-3wb.jpg

「げんこつ」を突き出したような蕾。
オオチョウジガマズミ09蕾wb.jpg

一番美しい頃です。
オオチョウジガマズミ0704wb.jpg

花冠の裏はピンク、表は白色。
花が咲くと辺りに芳香が漂います。
オオチョウジガマズミ2012-2wb.jpg

ぽったりした厚い花冠は5裂。
20140403-5.wb.jpg

雄しべは花筒から飛び出さず、雌しべはさらに奥にあるようです。
花筒を開いて見なかったことが悔やまれます。
20140403-6wb2.jpg

背面。名の如く丁の字に開いていることがよくわかります。
20140403-7wb.jpg

開花しきると白い花に見えます。
オオチョウジガマズミ2014-3wb3.jpg

4月3日、すでに花は殆ど白くなってしまいました。
20140403-8wb2.jpg

枝は上に伸びるよりゆるく垂れ下がります。
20140403-8wb.jpg

柔らかい毛に覆われた対生の葉も美しい。
今一番大きい葉は9 X 7.5cm。
オオチョウジガマズミ葉0430-2wb.jpg

オチョウジガマズミの葉はチョウジガマズミの葉に比べて円くて大きいそうです。
この葉は標準的な大きさで(6 X 6cm)で類円形。
星状毛が葉の表にも裏にも密生するため葉はしろっぽく見えます。
オオチョウジガマズミ葉円wb.jpg

未だに樹高は1.2mくらい(左上はマルバノキの葉)。
オオチョウジガマズミ葉0430-1wb.jpg

今年の花もあっさり終わりました。
赤い実がなるそうですがまだ一つも見たことがありません。

オオチョウジガマズミはチョウジガマズミの基本種と言われます。
チョウジガマズミ(Viburnum carlesii var. bitchiuense)は中国地方、四国の香川県・愛媛県、九州の福岡県・朝鮮半島に分布し、葉にも違いがあるようです。
またオオチョウジガマズミには交雑種も数種あり、販売もされていますから要注意です。

この花についてご教示いただけましたら幸いです。
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シュンランの種子  [草花(春)]

シュンランの種子
前の記事「シュンランの花粉塊」の続きです。

昆虫に花粉を運んでもらう花の多くはその報酬に蜜を与えます。
しかし「シュンランの花は蜜を出さない」そうです。
そういえばシュンランには香りもありません。
それでは受粉はどのように行われるのでしょう。
昆虫(多くはハナバチ)は蜜を求めて飛んできて先ず唇弁に止まります。
シュンラン花粉塊斜め1wb.jpg

唇弁を前に倒してみると、内側には2列の大きな襞がありました。
いかにも蜜がありそうですが、底まで行っても蜜はありません。
念のためシュンラン5花について唇弁の溝を舐めてみましたが甘みは感じられませんでした。
シュンラン唇弁襞奥wbL.jpg

この花の花粉塊を見てみます。
葯帽をそっと除けると黄色い花粉塊が2組現れました。
シュンラン花粉塊粘着体3wb.jpg

爪楊枝でつつくと花粉塊がついてきました。
注目すべきは花粉塊についている強力な粘着体(粘着盤)です。
これでこの隙間に入り込む昆虫の背に張り付き他花へ運ばれます。
この時、花粉塊は「初めは葯帽を被っているが、やがて外れて次に訪れた花の蕊柱のくぼみに渡される」そうです(#1)。
シュンラン花粉塊粘着体wb.jpg

これは葯帽と花粉塊を取り除いた蕊柱(ずいちゅう)です。
「蕊柱のくぼみ」とは中央の帯緑色の部分で、ここが柱頭です。
艶やかで粘液が分泌されているように見えます。
ここも爪楊枝の頭の方で擦ってなめましたが甘くはありませんでした。
シュンラン蜜1wb.jpg

シュンランの花粉塊」の2枚目の写真を撮る時、手前に黒褐色の果実が1個あることに気付きました。
シュンラン2016果実wb.jpg

これは2012年1月28日撮ったシュンランの緑色の実です。
4月に咲いた花が結実したものですが、未だに完熟していません。
シュンラン果実wb.jpg

2013.3.31.撮影の花と実。
シュンランの実は花に比べてずいぶん大きく、翌年花が咲く頃やっと熟すのです。
受粉後、花茎は再び伸び出して大きな蒴果を作ります。
シュンラン果実1wb.jpg

2013.4.14. 蒴果残存。
残念ながらこの年は中の種子を確認していません。
シュンラン鞘wb.jpg

今年は1個だけ見つけた蒴果を採取し指で開いてみました。
シュンラン種子1wb.jpg

下の方に白い細かい繊維のようなものがありました。これが種子です。
大部分はすでに飛び散り、下の方にだけ残っています。
雨の後に採取したため種子もまだ湿っていました。
シュンラン種子2@.jpg

翌日乾いた種子を観察しました。
上に散らした埃のようなものが種子。
シュンラン種子2wb.jpg

全部詰まっていたら何十万個もありそうです。
シュンラン種子多wb.jpg

種子は長さ種子は長さ1mmほど、大きいものでも1.5mm未満です。
吹けば飛んでしまいますが、本当にこれで種子でしょうか?
シュンラン種子6wb.jpg

種子を顕微鏡で確認してみました。
中央部の黒い塊が胚のようです。
ランの種子は共生する菌から栄養を受けて発芽するため、胚乳がありません。
そのため種子は小さく軽く、翼や毛がなくても遠くまで風に運んでもらえるのです。
シュンラン顕微鏡1wb2.jpg

「虫媒花植物の多くは、蜜や花粉などを昆虫に提供して誘引しているのだが、ランの場合、半分くらいの種が蜜を提供せず、擬態など様々な方法で昆虫を誘っている」そうです(#2)。
シュンランは香りも蜜も出さず、花粉も与えず、昆虫に大きな花粉塊を運ばせることがわかりました。
受粉が成功すると、吹けば飛ぶような軽い種子がたくさんできます。
但し種子ができるのに1年、その種子が花を咲かせるためにはさらに数年かかるようです。

今年はシュンランの花がたくさん咲きました。来年蒴果がいくつできるか楽しみです。

文献
(#1)田中 肇. 2009. 昆虫の集まる花ハンドブック. 総合出版
(#2)井上 健. 1997. 朝日百科 植物の世界 9-223. 朝日新聞社
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